第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
シカマル
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れてしまったのである――この術はシカマルの影が元となっているために、伸ばしても広めても縮めても、結局は自分の影と同面積分にしか伸ばせないのだ。そして彼女はその限度の場所に線を引いてしまった。遠距離攻撃を得意とする彼女がその線を越えて出てくるのはほぼ不可能だ。
シカマルはふと青空を見上げた。やたら暢気そうな雲は変わらない。
唐突に、彼は目を閉じ印を組んだ。十二支の印でもない、ましてや食遁のそれでもない印にテマリは眉根に皺を寄せる。ただその印は、いのの心転身の印を逆さにしたような形だった。
シカマルの目が開く、その一瞬に。
彼の中で数多もの作戦が形を成し始めていた。
「どうした? 何か考えつけたか?」
小ばかにしたような笑顔を見せて挑発して見るも、シカマルは動じなかった。ただテマリの巻き起こした暴風の中で、風に押し飛ばされそうになりながらもクナイを持ち、そして木々の中を移動しはじめた。
「隠れたって無駄だ!」
木々に切り傷をいれていく風の中で空気がかき乱され、木の葉や砂が舞っている。テマリの視界もさほどよいとは思えぬその場所で、シカマルは上着を脱いだ。
「いつまで逃げ回っている……いい加減にしろッ!!」
何回も暴風を起こしたためにテマリのチャクラもかなり消耗してしまっていた。苛々しつつ再び風を起こす。その風が止んだその一瞬に、クナイが跳んできた。右に跳んでかわすのと同時に、上から降ってきたクナイを扇子を広げて弾く。影が再びこちらへ向かって飛んできた。
――無駄だ、この線の外にいる限り……
しかし影は、線を越した。
――いや待てッ!
後ろに跳び退る。影はまたもやテマリの一歩手前で止まったが、しかし前よりもずっと伸びているのは事実だった。荒い息をつきながらテマリはシカマルを睨みつける。
「よく見抜いたなあ?」
「時間稼ぎは太陽が低くなるのを待っていたのか……」
影の範囲を伸ばし、自分の影の表面積を更に大きくするために。
ただしまた日が落ちるのには更に時間がかかるはずだし、先ほど計算した距離などから見てもこの影の位置に誤魔化しは無い――つまり現時点でのシカマルの限界はここまでだ。彼がなぜか上着を脱いでいるのが気になったが――それはどうでもいいだろう。日が落ちる前にさっさと倒しておかねば。
その瞬間、空が曇ったような気がした。
「なんだ……?」
ふと上を見上げて、気づく。
「――しまったッ!」
自分の影とシカマルの影の間に生まれつつあるもう一つの円形の影を目にしたテマリの瞳が大きく見開かれる。慌てて後ろに向かって跳び退り、距離を取る。
空に浮かんでいたのはシカマルの服をクナイに結びつけ、さらに額宛てを引っ掛けた代物だ。もともと風の吹くさわやか
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