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少年は旅行をするようです
少年は真剣で恋するようです 弐
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Side 大和

「決闘しようじゃないか、ノワール!」


ノワールさんに負けた翌日。予想通りと言うか何というか、姉さんは早速再戦を

挑んでいた。楽しげに笑いながらもワン子すら少々怯えるだけの闘気を真正面から

受けたノワールさんはしかし、弟さんをおぶったまま鬱陶しそうな顔をして振り返った。


「礼儀がなってないわね、百代。朝に人と会ったら"私と戦え"と言いなさいって教わったの

かしらぁ?親の顔が見てみたいわねぇ?」

「うぐぅっ!?す、すまない……おはよう、ノワール。」

「ええ、お早う。あと、戦うのは嫌よ。」


姉さんが一切反抗する事なく謝った!?借金もしていないのに!?・・・いや、そこじゃないって。

たった二言三言やり取りしただけで姉さんの戦闘意思を抑え込むなんて、この人本当に凄いな。

しかし、叱責されてしょぼーんとなっていたが、さらりと断られた事に気付くと元気になる。


「な、何故だ!?まさか戦うのが嫌いと言う事じゃないだろう!?」

「そうねぇ。あなたって弟とか妹が居るかしら?」

「唐突だな……まぁ、いるが。小さい可愛いポニーテールがワン子、ふつーのが大和だ。」

「俺の扱い雑じゃない!?」


普通と言われて若干傷ついたが――これでも少しは鍛えているのに――こちらを

見られた瞬間、心臓を握られた様に胸が締め付けられ、冷や汗が滝の様に溢れ出す。

ふざける余裕すら無い。これは・・・ああ、嫌なくらい覚えがある。・・・恐怖だ。

横に居るワン子も同じらしく、微動だに出来ないでいる。


「成程ね。さて、想像なさい。あなたは寝ぼけたままのワン子ちゃんをおぶって

学校に向かっているわ。」

「あ、ああ。」

「それはそれは天使の様に可愛らしく、愛でる以外に方法が見つからない寝顔でね。

そんな人生の至福である時間を、大声で喚きながら邪魔してくる吹けば飛ぶような人が割り込んで

来たらどうかしら?許せるかしら?無理よねぇ?ここら一帯塵に返したくなるわよねぇ?」

「本当にすいませんでした心より反省しています。心にしかと刻み、以後気をつけます……。」


ズゴゴゴゴ――と擬音を背後に背負っていたノワールさんに気迫負けした姉さんが

平身低頭で謝った。もういろんな意味で姉さんがこの人に勝てる気がしない。

・・・それにしてもこの人何者なんだ?こんな達人が今まで隠れ住んでたのか?

だとしたら、なんで態々出て来たのか・・・?


「そう難しい事じゃないわよ?シュウがそう望んだからそうしているだけ。

取り敢えず、遅刻してしまうわよ。早く行きましょう。」

「無駄に真面目な……。まぁ良い、美女と美少女
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