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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十六話 敵、味方
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より十人の秀才の方が軍事行動における選択肢は増えるはずだ。これならミュッケンベルガーも安心してラインハルトを処断できると言うものだ。
■帝国暦486年8月5日 ミューゼル艦隊旗艦 ブリュンヒルト ジークフリード・キルヒアイス
ベーネミュンデ侯爵夫人が死んだ。これでアンネローゼ様を脅かすものはいなくなった。今回の件は正直後味が悪かった。ロイエンタール少将に無理強いさせた事もそうだが、まさかベーネミュンデ侯爵夫人が暴発してヴァレンシュタイン中将を襲うとは思わなかった。彼女が暴発する可能性を考えなかったわけではない、だがそこまで愚かだとは思わなかったのだ……。
私もラインハルト様も彼の死を望んだ事など無い。彼に不満はあるし、今ひとつ信用できないものを感じているが、だからといって彼を殺そうなどとは考えていない……。ただ、あまりに全てを自分で片付けようとする事に反発はある。それにあの密通の噂ではアンネローゼ様の安全が確保できない。そう思ったからあの噂を流したのだ。間違っていたとは思わない。ただあまりにも侯爵夫人が愚か過ぎた……。
襲撃事件が起きた時は本当に驚いた。ラインハルト様も私も唖然とした。幸い中将が無事だったから良かったが、そうでなければ私もラインハルト様も一生後悔しながら生きていく事になったろう。本当は彼に謝りたいのだが、彼を信用しきれない。本当に彼はこちらの味方なのだろうか?
ラインハルト様と相談して決めた事は、今は謝罪しない、いずれこのことが公になっても問題ないだけの力を得たら謝罪しようという事だった。今は無理だ、アンネローゼ様に累が及んではいけないし、ローエングラム伯爵家の継承もある。今あれが公になれば全てを失いかねない。
ヴァレンシュタイン中将には申し訳ないが、もうしばらく待ってもらうしかないだろう。いつか必ず謝罪する日が来るはずだ。そのときはきちんと謝ろう。きっと判ってくれるはずだ。……もし、彼が死んでいたらどうなったろう? ラインハルト様の軍での立場、存在は今より大きい物になったのではないだろうか? 私はそのことを一瞬考え、そんな事を考える自分に強い嫌悪をいだいた……。
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