プロローグ 平和な日常
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気になってしまっていた。
そのゲーム、〈ソードアートオンライン〉の事が。
明日香は浩一郎の部屋から持ち出したナーブギアを両手で慎重に抱えながら自室に戻る。
浩一郎の私物なので傷を付けるわけにはいかない。
部屋に入って、ゆっくりとベットの上に置く。
何事もなく自室にたどり着いたことにほっと息をつき,安堵する。
そのあと、一緒に持ってきていた説明書を開いて,その中身にじっくりと目を通す。
ゲームなどやったことがないので、どの程度読んだら良いのか分からず、明日香は説明書の端から端まで全部読んだ。
読み終わって説明書を閉じて,ふと時計へと視線を移すと,針は午後1時を指し示していた。
母親が帰ってくる前には浩一郎の部屋にゲームを戻しておきたかった。
ゲームをしていることがバレたら何を言われるか分かったものではないからだ。
説明書通りに,慣れない手つきでナーブギアを頭にセットし,自分のリアルな体格を再現するために、自身の体のあちこちを触るキャリブレーションを行う。
正式サービ開始時刻は正午なので,1時間が経過していることになる。
母親は夕方の6時過ぎにしか帰ってこないだろうが、5時くらいには余裕を持ってログアウトをすることを決める。
時間も限られており早くやることに越したことはないと思った明日香はすぐにゲームを開始しようとする。
電源をコンセントに差し込む。
ナーブギアを被ったまま楽な体勢になるように、と説明書に書かれていたので明日香はベットに横になる。
そして明日香は抑揚のない平坦な声でゲームスタートの言葉を口にする。
その言葉を口にしたことによってこれからの自分の人生が大きく変わることを知らないまま。
「リンクスタート」
2022年11月6日、日曜日、午後1時。
その時刻に明日香――アスカ――は仮想世界へと足を踏み入れた。
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