第104話
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になっている。さて………この場合、どうすべきなのかな?」
「………ふむ……痛いトコ突いてきますなぁ。リベールとしてはこれの所有権を主張したいと?」
シード中佐に尋ねられたケビンは真剣な表情で考え込んだ後、二人に視線を向けて訊ねた。
「それを見極めるために私はこの場に同席している。ちなみに主張しているのはどちらかというとエリカ博士だ。」
「もともと中央工房が進めていたサルベージで見つかった物だもの。当然の権利じゃないかしら?」
「……死んだ古代遺物は完全なブラックボックスです。いかなる手段をもってしても解析は不可能やと言われてます。それでも引き取りたいと?」
エリカの話を聞いたケビンは静かな表情で説明した後、苦笑しながら尋ねた。
「ええ、その通りよ。考えてもみなさい。あんな事件があった後なのよ?私はその場にいなかったけど少なくとも我々の常識は根底から覆されてしまったわ。七耀教会が千年かけて覆い隠してきた真実によってね。それにこれがリベル=アークにあった古代遺物と決まった訳じゃないでしょう?謎の自爆によって、崩壊した浮遊都市と共にヴァレリア湖に沈んだ”身喰らう蛇”の戦艦――――”グロリアス”にあった”結社”が開発した何らかの装置の可能性もあるでしょう?もし後者だったら、そちらが引き取る権利はないと思うのだけど?」
「…………………………」
エリカの指摘を聞いたケビンは真剣な表情で黙り込んでいた。
「”身喰らう蛇”とかいう得体の知れない結社も同じ。聞けば聞くほど、その技術水準はデタラメだわ。一体、何が真実で何が起ころうとしているのか………私を含め、大勢の人がもう無関心ではいられないのよ。それこそ、手掛かりがあるなら何でも調べたくなるくらいにはね。」
「……………………」
「博士、そのくらいで。依頼人を問い詰めたところでどうなる問題でもないでしょう。」
説明を聞いて黙りこんでいるケビンを見かねたシードはエリカを宥めた。
「……まあね。とにかく……こちらの事情は説明したわ。この古代遺物―――いえ、ただの金属片の固まり。渡すの、渡さないの?」
「………それは…………」
そしてエリカに尋ねられたケビンが戸惑った表情で呟いたその時
「『その一握りの迷いが邪なものを生んだ―――」
突然エリカ達の背後から女性の声が聞こえてきた。
「!?」
「な………」
(え………)
女性――シスターの登場にシード中佐とエリカは驚き、ケビンはシスターの容姿を見て信じられない表情をした。
「『それは野を這いずり丘を駆け抜け空に災厄を振り撒いた………』―――エゼル記第二節、『解き放たれた災厄』より………」
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