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SAO−銀ノ月−
第百六話
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ます!」

「そう?」

 かの浮遊城の時からファンらしいリズは、アシュレイさんの手を握り締めて熱烈にアピールし、それを問い返したアシュレイさんの気配が――変わったような、気がした。そんな気配に怪訝な表情をした俺に、アシュレイさんはニッコリと笑みを深めた。

「SAO時代から高名だったリズベット武具店の協力を取り付けられたら、それは百人力だわぁ。早速、頼み事があるんだけど――」

「そ、そんな……頼み事?」

 ……ここで何か嫌な予感を感じた俺は、即座にリズベット武具店からの退避を試みていた。しかしてルクスの「ショウキさん、どうしたんだい?」という善意しかない問いを受け、少しだけだが動きが止まってしまい。

「――二人でデートしてくれない?」


 ……そんなホップしてステップしたら月面に着陸したような、異次元からやってきた頼み事にて冒頭に戻る。単純に断ればよかった話だが、リズは何でも協力しますと言った手前――そして新作が完成したら融通するという口八丁――に懐柔され。こちらはこちらで先の水泳授業に使った、セブンの水着を制作してもらった代金、という断れない理由があり。

 アシュレイさんプレゼンツなデートな内容を、俺たちは役者となって演じていた。問題はこれをどこかでアシュレイさんとルクスが、ルクスの《隠蔽》スキルを使って見ているということで。せめて《隠蔽》スキルはやめてくれ、という提案は「私もちょっと……興味がある」と目を輝かせたルクスに却下された。

「最初はどこ行くんだっけ?」

 肩に頭を乗せられる程に密着したリズから、既にうんざりした口調で話しかけられた。普通ならとてつもなく嬉しい状況の筈だったが、もはやこちらもため息しか出ない。さっさと終わらせるに限ると、アシュレイさん特性の適当なドラマの台詞を引用した台本を取り出し、次はどこに行くか確認する。

「……服屋」

「さっさと行きましょさっさと。……しっかし歩きにくいわね、コレ」

 密着しすぎてもはや二人三脚な状態に、二人で悪戦苦闘しながら進んでいく。幸いなことに目的の服屋はすぐそこだったが、周りの似たような格好をしたカップルは、普段どのような修行をしているのだろうか……


「ねぇ、ショウキ。この服なんかどうかしら」

 プレイヤーメイドの女性用服屋。賑やかなその場所において、リズが自分に被せるように服を見せつけてきた。普段の白いエプロンドレスとはイメージが違う、赤を基調とした服だったが、正直な感想を心のままに伝えていく。

「いいんじゃないか? 試しに試着してみれば」

「うん、そうしてみるわ。……普段と違ってて似合わなくても、笑わないでよ?」

 試着室へと歩きながらそんな他愛のない会話を繰り広げ、リズの言葉に小さく笑
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