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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
怪物との戦闘
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 黒い大きな怪物は赤い瞳でこちらを見ている。
 瞳の数は十。
 岸辺の方で悲鳴が聞こえた。

 悲鳴を上げる前にすることがあるきもしたけれど、僕はとりあえず先ほどこの氷の平原を作り上げた魔法を使う。
  青い“魔法結晶石”を取り出してその怪物の方に向かって投げて、

「“氷の息吹は静寂と共に”」

 告げたその言葉。
 同時に青い光が大きく膨れ上がり、膨れすぎた風船のように破裂する。
 それが黒い怪物に飛んで行く。

 そちらに向かうよう意識してみると、この魔法の飛んで行く方向を制御できるようだ。
 魔法は僕の意思に密接に関わり合っている。
 不思議だなと思いながらも魔法が発動すると同時に僕は、レイアの手を握りしめて走りだす。

「どこに行くのですか?」
「あの島の上! 氷にヒビが入ったら、海の中に落ちるから。だったらもう少し足場が安定した所の方がいい。それに氷が溶けたり壊れたりする危険性があるから、今回は氷の魔法を使ったけれど……しまの上に来れば、とりあえずは足場の心配をせずに済む」
「なるほど」

 そう答えながら僕はレイアの手を握りさらに進む。
 その頃にはその黒い物体は、氷に包まれて……。
 ピキッ

 大きな亀裂が走る音が聞こえた。
 同時にその壊れた氷が、中にいる怪物が跳ね返したらしく僕達の方に向かって大きな塊が降ってくる。
 それに向かってレイアが杖を掲げて、

「“氷の壁”」

 厳かにつぶやき、同時に僕達を守るように氷の壁を作り防ぐ。
 何度も大きなものがぶつかる音がして、やがて静かになる頃にその壁も壊れた。

「レイア、助かった」
「いえ、お役に立てて良かったです」
「でも氷や水系の魔法は効果がないみたいだ。となると別の魔法で行こう」
「けれど、颯太、今の魔法は貴方の魔力での攻撃でしたよね」
「そうですね」
「同じ属性で押しきれない、ということですか」

 今までは同じ属性で攻撃しても、それで押し切れ多分今回の敵はそう簡単には行かないらしい。
 どうする、そう思いながらもどうにか小島の岸にたどり着く。

「足場に関しては、問題なさそうだね。それで次は、炎の攻撃で行くか。レイア、危ないから下がっていてもらえるかな」
「はい」

 後ろに下がってもらい僕は赤い“魔法結晶石”を取り出す。
 水の気化熱はとても大きい。
 それが僕達の世界の気温が一定になる理由でもあるらしいのだけれど……濡れている布でも乾けば燃える。

 金属であれば溶ける。
 溶けて冷えれば元の魔物になる……ということはないように願いたい。
 それに周りが金属でも中が柔らかい有機的なものであれば、肉が加熱して変化するように機能しなくなるかもしれない。

 だから次の攻撃
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