3部分:第三章
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第三章
「続けるわ。ええな」
「はいどうぞ」
笑顔で言ってきた。
「そのように」
「しかし。難儀な話やで」
彼は部屋に戻る最中でも困惑した顔で呟くのだった。さっきは朗らかに昇った階段が今では異常に重い。足が動いてくれない。
それでも元を取らないといけないから部屋に戻った。何とか平静を装って女だった筈の若衆に声をかけるのだった。
「あの」
「ほな、はじめよか」
声も何とか抑えて言う。
「心配させたようやけれどな」
「いいんでありんすか、あちきで」
「ええ」
覚悟を決めていた。
「そやから。今からな」
「あい」
若衆も頷いた。こうして辰五郎ははじめての味を知ったのであった。
大阪に帰ってから。彼は贔屓にしてくれる客人と飲んだ時にこの話をしたのであった。この時彼は好きな酒のせいでやけに上機嫌であった。
「江戸にそんな店があるんでっか」
「そうでんねん」
お座敷であった。そこで二人で馳走を食べていた。大阪でよく食べられている牡蠣を料理したものだ。それを天麩羅にしている。他には刺身もあった。そういったもので美味い酒を楽しんでいるのである。海の近い大阪ならではの料理であった。
「稚児遊びというやつでんな」
「そう言うんでっか」
辰五郎はその言葉を知らなかった。はじめて聞いて目をしばたかせたのである。
「あれは」
「知りまへんでしたか」
「はあ、全然」
次には首を傾げさせて述べた。
「そんなんがあること自体」
「大阪でもありますで」
客はそう彼に告げる。
「れっきとした店が」
「そうでしたか」
本当に知らなかった。そんなものがあるとは本当に夢にも思わなかったのである。
「それはまあ」
「いや、ええこと知りましたな」
客は今度は好色な笑みを浮かべて彼に言うのであった。
「その遊びをお知りになったっていうんは」
「そうでっか!?」
だが辰五郎はその言葉には甚だ懐疑的であった。
「わてはそれはあんまり」
「好きになれまへんか」
「はあ」
困った顔で述べる。
「どうにもこうにも。やっぱり女の方がええですわ」
「まあそれは仕方ありまへんな」
それでも客は彼の言葉に納得するのであった。
「それについては。好みですさかい」
「あの柔らかい胸と」
彼はそれについて話をはじめた。自分の好みについて。
「あとは下も」
「それ以上はえげつない話になりますな。しかしそれでしたら」
これ以上は話すのを止めることにした。どうにもこうにも品がなくなってしまうからだ。それで客は彼にあることを提案したのであった。
「今から」
「どするんでっか?」
「どうでっか。そっちの店でも」
また好色な顔をして彼に提案する。
「そっちの方が好きでしたら」
「あ
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