第122話
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。僕の心が壊れているのも。僕の手が血塗られているのも。君の父さんを暗殺しようとして失敗したのも。そして……今までずっと君たちを裏切り続けていたことも。」
「!?」
ヨシュアの過去が全て真実で、さらに今まで自分達を裏切り続けていたという告白を聞いたエステルは信じられない表情になった。
「男の子は本当の意味で救いようがない存在だった。そこにいるだけで不幸と災厄をもたらすような……。そんな、穢れた存在だったんだ。」
「………………………………」
エステルは何を言えばいいかわからず、沈黙し続けた。
「だから……男の子は旅立つことにした。幸せな夢を見せてくれた人たちをこれ以上、巻き込まないために。自分という存在を造った悪い魔法使いを止めるために。」
ヨシュアはエステルに近づき、いつも大切にしていたハーモニカをエステルの両手に握らせた。
「え……?」
ハーモニカを渡されたエステルはヨシュアの行動が理解できなかった。
「それは、僕が人間らしい心を最後に持っていた時のものだ。もう必要ないものだから……。だから……君に受け取ってほしい。この5年間のお礼にはとてもならないだろうけど……。何も無いよりはマシだと思うんだ。」
「………………………………。…………かげんにしなさいよ」
エステルはヨシュアを睨みつけた後、顔を下に向け小さな声で呟き始めた。
「え……?」
「いい加減にしなさいっての!」
エステルは下に向けた顔をあげると、ヨシュアに近付き怒鳴った。
「夢なんて言わないでよ……っ!まるで……今までのことが本当じゃなかったみたいじゃない!過去がなんだっていうの!?心が壊れてる!?それがどーしたっていうのよ!?」
「エステル……」
悲しみを抑えて必死に笑顔で自分を止めようとするエステルを見てヨシュアは目を伏せた。そんなヨシュアを気にせずエステルは大きな声で話し続けた。
「あたしを見て!あたしの目を見てよ!ずっと……その男の子を見てきたわ!良い所も悪い所も知ってる!男の子が、何かに苦しみながら必死に頑張ってたってことも知ってる!そんなヨシュアのことをあたしは好きになったんだから!」
「!!!」
エステルの告白にヨシュアは目を見開いて驚いた。
「1人で行くなんてダメだからね!あたしを、あたしの気持ちを置き去りにして消えちゃうなんて!そんなの、絶対に許さないんだからあっ!………うっ………うう………」
「……エステル……。………………………………」
涙を見せ始めたエステルにヨシュアは何を思ったか、エステルの肩に手を乗せた。
「え……?」
そしてヨシュアはエステルに口づけをした
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