第122話
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法使い』によって生きた殺人兵器へと造り上げられた男の子は毎日のように人を殺し続けた―――
「何十人もの部隊を、闇に紛れて全滅させたこともあります。屈強な護衛に守られていたとある国の大臣の屋敷に潜入して、その喉をかき切ったこともあります。時には爆発物を使い、罪もない人々を巻き添えにしました。いつしか男の子は、ただの人殺しから優秀な化物に成長し……『漆黒の牙』と呼ばれ恐れられるようになっていました。」
―――そんなある日、男の子はいつものように『魔法使い』からある人物の暗殺を命じられる。それは―――
「かつて女王様が治める国を北の大きな国から守った英雄。大陸で4人しかいないという特別な称号を持っている遊撃士を。」
―――『英雄』を確実に殺すために、男の子は無邪気な子供のふりをして近づいて不意をついて殺そうとしたが―――
「でも、その標的は強すぎました。子猫が虎にいなされるように男の子は撃退されてしまいました。失敗した男の子の前に魔法使いの手下たちが現れました。標的に顔を知られてしまった男の子を始末しようとしたのです。」
―――『英雄』に撃退された男の子は抵抗もできなかったので、自分を殺す凶刃を見つめることしかできなかった。しかし―――
「しかし、その手下を追い払って男の子を救ってくれた人がいました。それは、男の子が暗殺に失敗した当の標的である遊撃士だったのです。」
―――男の子の命を守るために手下を撃退した『英雄』は気絶した男の子をどうするべきか考え、ある妙案が頭に浮かんだ。それは―――
「そして、男の子は……その人の家に連れてこられてひとりの女の子に出会いました……。その家で、男の子は5年もの間、素敵な夢を見せてもらいました。本当なら、その男の子には許されるはずもなかった夢を……。」
―――それはかつて男の子が夢見ていた幸福の時間。尊敬できる父、優しい母、そして………太陽のような眩しい笑顔をいつも自分に向けてくれる愛しい少女。ようやく手に入れた幸福の時は続くかと思われたが―――
「だけど、夢はいつか醒めるものです。現実に戻る時が迫っていました。」
「これで……この話はおしまいだ。ありがとう……最後まで耳を塞がずに聞いてくれて。」
話を終えたヨシュアはエステルに向き直り、壮絶な自分の過去の話を耳を塞がず静かに聞いてくれたエステルにお礼を言った。
「………………………………。……えっと……あは…………。それって……どこまで本当なの?」
ヨシュアの壮絶な過去を聞いたエステルは御伽話を聞いたような気分になり、どこまでが真実か聞き返した。
「全部―――本当のことだよ
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