第120話
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ワイスマンの呟きにヨシュアは誰にも見せた事のない暗い笑顔で呟いた。
「ああ、すまない。うっかり言い忘れていたよ。君の本当の役目は暗殺ではなく諜報だったのさ。」
ヨシュアの呟きにワイスマンはわざとらしい謝罪をした後、ヨシュアの役目を明かした。
「え……」
「『結社』に見捨てられた子供として同情を引き、見事保護されてくれた。そして定期的に、結社の連絡員に色々なことを報告してくれたんだ。遊撃士協会の動向と……カシウス・ブライトの情報をね。」
「!!!」
ワイスマンから自分の役目を聞いたヨシュアはさらに驚いた。
「無論、そんな事をしていたのは君自身も覚えていないだろう。私がそう暗示をかけたからね。」
「………………………………」
ヨシュアは絶望した表情で顔を下に向け、ワイスマンの話を聞き続けた。
「S級遊撃士、カシウス・ブライト。まさしく彼こそが今回の計画の最大の障害だった。彼に国内にいられては大佐のクーデターなどすぐに潰されてしまっただろうからね。彼の性格・行動パターンを分析して、悟られずに国外に誘導するために……。君の情報は本当に役に立ってくれた。………欲を言うなら”大陸最強”を誇る異世界の大国、メンフィル帝国……あそこの情報も欲しかったが、まあさすがにそれは無理な話だ。藪をつついて”覇王”達に結社の存在を知られる訳にはいかないからね。”覇王”は”剣聖”以上に厄介な相手だ。もし、我々の存在を知られたら彼らによって全ての拠点を見つけられた”教団”の二の舞になってしまう恐れもあるだろうからな。」
「…………嘘……だ………………」
ヨシュアは頭を抱えてうずくまり現実を否定するかのようにうわ言を呟いた。
「だから……改めて礼を言おう。この5年間、本当にご苦労だった。」
そんなヨシュアにワイスマンは追い打ちをかけるかのように自分の計画の一部が成就したことに礼を言った。
「嘘だ、嘘だ!嘘だあああああああっ!……僕は……みんなと……エステルと過ごした…………僕のあの時間は…………」
ヨシュアは絶望した表情で叫んだ後、さらにうわ言を繰り返した。
「ふふ……何がそんなに哀しいのかな?素知らぬ顔で、大切な家族と幸せに暮らしていけばいいだろう?君が黙っていれば判らないことだ。」
「………………………………」
「しかしまあ……考えてみればそれも酷な話か。ブライト家の者達はどうも健全すぎるようだからね。君のような化物にとって少し眩しすぎたんじゃないかな?」
「…………ぁ………………」
ワイスマンの『化物』という言葉に反応してしまったヨシュアはある事に気付いた。
「君は、人らしく振る舞えるが、その在り方は普
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