暁 〜小説投稿サイト〜
好き好き
1部分:第一章
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「吉原はちょっとちゃいまんな」
 案内をするその若い男に言うのだった。
「やっぱり」
「そうなんですか」
「言葉でわかると思いますけれどわては大阪から来ましてん」
 それも言う。
「大阪もええですけれどここも」
「御気に召されましたか」
「はい」
 辰五郎はその言葉に笑顔で頷く。
「何か中にいるだけでええですわ」
「ここはまた違うんですよ」
 男はまた言ってきた。
「それはお楽しみを」
「違うんでっか?」
「そうですわ」
 また言う。
「そこもお楽しみを」
「それじゃあ」
 部屋に入る。そこにはあの遊女がいた。花魁のあの華やかな服を着てそこにいた。まずは話を楽しみ酒を嗜んだ。話は実に弾んだ。

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