第116話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のわずか8分の1にしかすぎない。メンフィルと比べれば、どれほど差が開いているかわかないほどだ。唯一誇れる技術力の優位はいつまでも保てるわけではない。二度と侵略を受けないためにも我々には決定的な力が必要なのだよ。」
リシャールはカーリアンやリスティに一瞬目を向けた後、言った。
「だ、だからといってそんな古代の代物をアテにしなくてもいいじゃないの!10年前の戦争だって何とかなったんでしょう!?それにメンフィルとは同盟を結んでいるじゃない!」
エステルの叫びにリシャールは悲痛な表情で否定した。
「あの侵略を撃退できたのはカシウス・ブライトがいたからだ。だが、彼は軍を辞めた。国を守る英雄は去ったのだ。そして、奇跡というものは女神と彼女に愛された英雄にしか起こすことはできない……それにメンフィルと同盟を結んでいると言うが、恐らく自分達にはないオーブメントの技術力欲しさだろう。実際この先も、同じ状況にいられるか、わからないさ。」
「………………………………」
「………………………………」
リシャールの言葉を聞いたエステルは黙って何も言わず、リスティは悲しそうな表情で黙っていた。
「だから私は、情報部を作った。諜報戦で他国に一歩先んじることもそうだが……あらゆる情報網を駆使してリベールに決定的な力を与えられるものを探したのだよ。リベールが苦境に陥った時にふたたび奇跡を起こせるようにね。」
「それって……奇跡なのかな?」
「なに……?」
エステルの不意に呟いた言葉にリシャールは訳がわからず聞き返した。
「えっと、あたし達は遊撃士でみんなの大切なものを守るのがお仕事だけど……。でも、守るといってもただ一方的に守るだけじゃない。どちらかというと、みんなの守りたいという気持ちを一緒に支えてあげるという感じなの。」
「それが……どうしたのかね?」
リシャールはエステルが何が言いたいのかわからず先を促した。
「父さんだって、別に1人で帝国軍をやっつけたわけじゃない。色々な人と助け合いながら必死に国を守ろうとしたんでしょ?みんながお互いを支え合ったから結果的に、戦争は終わってくれた。大佐だってその1人だったのよね?」
「………………………………」
「今、あたしたちがここにいる事だって同じだと思う。大佐の陰謀を知った時はかなり途方に暮れちゃったけど……。
それでも、色々な人に助けられながらここまでたどり着くことができたわ。それだって、奇跡だと思わない?」
「………………………………」
リシャールはエステルの言葉に何も言い返せず驚いた表情で黙ってエステルを見続けた。
「でも……それは奇跡でも何でもなくて……。あたしたちが普通に持っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ