第82話
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オリヴァルト皇子……名前だけは存じていましたが。」
「フフ、皇子とはいってもしがなき庶子でしかないのでね。公式の場で出ることも少ないから顔を知らなくても不思議はない。そかし、そうは言っても少しばかりショックではあるな。縁が無かったとはいえ、かつての縁談相手の顔くらいご存じかと思ったのだかね。」
「!?(あ、あんですって〜!?)」
(そうか……大佐が進めていた話か。)
オリヴァルト皇子の口から驚愕の話が出るとエステルは驚き、ヨシュアはクーデター事件の事を思い出した。
「そうでしたか……。存じなかった事とはいえ本当に申し訳ありません。」
「まあ、女王陛下の与り知らぬところで進められていた話とは聞いている。その事は別に気にしていないが……。だが……今回の事態は見過ごせないな。」
「……あ…………」
「クローディア姫。今、帝国本土でどのような噂が囁かれているかご存じかな?」
「……いえ、寡聞にして……」
「ならば、教えてあげよう。彼方に見えるあの巨大構造物……あれが王国軍が開発した新兵器という噂だ。」
「!!!」
「『リベール軍が導力を止めてしまう画期的な新兵器を実用化したそうだ。彼らはそれを使って10年前の復讐を企てているらしい』―――こんな噂がまことしやかに流れているのだよ。」
「そ、そんな……。誤解です!わたくしたちはそんな……」
オリヴァルト皇子の話を聞いたクローゼは反論しようとしたが
「ならば……誤解である事を証明できるかね?」
「……っ……」
オリヴァルト皇子の指摘に対する反論ができず、唇を噛みしめた。
「出来ないのであればこちらもそれなりの対応をさせてもらうしかないわけだ。それどころか、噂の通りならば不戦条約を隠れ蓑にした重大な背信とすら言えるだろう。フフ……正当防衛もやむをえまいと思わないかね?」
「いい加減にしなさいよ!」
そしてオリヴァルト皇子が不敵な笑みを浮かべて問いかけたその時ついに我慢ができなくなったエステルが前に出てオリヴァルト皇子を睨んだ。
「エステル……!」
「お、お姉ちゃん!?」
「うふふ、さすがはエステル♪期待を裏切らない展開ね♪」
「何でお前はそんな呑気でいられるんだよ……」
エステルの行動にヨシュアとティータが驚いている中、小悪魔な笑みを浮かべてエステルを見つめているレンにルークは疲れた表情で指摘した。
「さっきから聞いてれば勝手なことをペラペラと!オリビエだってこっちの事情は大体分かってるんでしょ!?どうしてそんな意地悪なことばかり言うわけ!?」
「エ、エステルさん……」
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