第99話
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〜グランセル城内・侍女控室〜
「エステル殿、ヨシュア殿。お待ちしていましたよ。ずいぶんと遅うございましたね?」
「えへへ……ごめんなさい。なんかリシャール大佐に捕まっちゃって……」
「大佐に……ですか?」
エステル達がリシャールと話していた事にヒルダは驚いた。
「僕達の父のことについて昔話を聞かせてもらいました。こちらの動きについては気付かれていないと思います。」
「そうですか……。紹介状によるとあなた方は、カシウス殿のお子さんということでしたね。リシャール大佐が感慨を抱くのも分かる気がします。」
そしてヨシュアの説明を聞き、ヒルダは納得した。
「あの、ヒルダさんも父さんを知ってるんですか?」
「昔は、モルガン将軍の副官として王城によく来てらっしゃいました。亡き王子……陛下のご子息のご学友だったとも聞いております。」
エステルの疑問にヒルダは昔を思い出すかのように、遠い目で語った。
「亡き王子って……」
「クローディア姫のお父上にあたるかたですね。」
「ええ、15年前の海難事故でお亡くなりになられました。王子さえ生きてらっしゃればこのような事態は起こらなかったでしょうに……」
ヒルダはそう言って、つらそうな表情で目を伏せた。
「え……」
「……起きてしまったことを悔やんでも仕方ありませんね。夜も更けてまいりました。早速、支度をしていただきます。シア、いらっしゃい。」
気を取り直したヒルダは1人のメイドを呼んだ。そして控室の奥の扉からエステル達を案内したメイドであるシアが出て来た。
「あれ、あなたは……?」
「確か、シアさんとおっしゃいましたね?」
「ど、どうも……エステル様、ヨシュア様。事情は伺わせていただきました。」
「この子のことは信用してくださって結構です。姫様が城にいらっしゃる時にお世話をしている侍女ですから。」
シアの登場に疑問を浮かべているエステル達にヒルダは説明した。
「姫様って……クローディア姫のことね。」
「それなら問題ありませんね。」
ヒルダの説明を聞いた2人は安心した。
「きょ、恐縮です……。では、用意した制服に袖を通していただけますか?リボンやカチューシャなど細かい所は、私が整えさせていただきます。」
「へ……」
「あの……ひょっとして?」
シアの言葉にエステルは驚き、察しがついたヨシュアはヒルダを見た。
「ええ、エステル殿には侍女と同じ恰好をしてもらって女王宮に入っていただきます。多少、髪をいじらせて頂ければ、見張りにも気づかれないでしょう。」
「な〜るほど……」
「たしかに、制
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