第97話
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デュナンの言葉にクラウスは驚き、マードックは警戒するような表情で尋ねた。
「うむ。ここから先は、私の代わりにリシャール大佐に説明してもらおう。」
尋ねられたデュナンはリシャールに説明をするよう、促した。
「……恐縮です。女王陛下が御不調なのはすでにご存じのことかと思います。ですが、徐々に回復なさっているため、すぐに元気な姿を見せてくださるでしょう。」
「おお……それは良かった。」
「では、陛下へのお見舞いは許していただけるのかしら?」
リシャールの説明にクラウスは安心し、メイベルは女王への見舞いの許可を尋ねた。
「あいにくですが、陛下のご意向でそれは遠慮して欲しいとのことです。ただ数日中に、王都周辺を騒がすテロリストどもは一掃できる公算です。その事と合わせて、
女王生誕祭は予定通りに執り行われるでしょう。」
「ふむ……市民も楽しみにしているだろうからめでたいことではありますな。だが、話というのはそれだけではないのでしょう?」
「……確かに、それだけならば連絡してくれれば済みますからな。」
コリンズの疑問に同意するように、マードックは頷いた。
「フフ、察しが良くて助かります。女王陛下が回復されつつあるのは先ほど述べた通りなのですが……。陛下は、今回のご不調を理由にある決断をなされたのです。その決断とはすなわち―――」
コリンズの疑問にリシャールは口元に笑みを浮かべて頷いた後、一端言葉を切り、表情を真剣にして、ある説明をした。
「ご自身の退位と、こちらに居られるデュナン公爵閣下への王位継承です。」
「な、なんですと!?」
「ほ、本当ですの!?」
リシャールの説明にマードックやメイベルは驚きの声を上げた。また、他の招待客達も驚きを隠せていない様子だった。
(ヨシュア、これって……!)
(うん……。リフィア達の情報通り、とうとう陰謀が姿を現したね。)
一方エステルは小声でヨシュアに話し掛け、ヨシュアは小声で頷いた。
「……私も戸惑ったのだが陛下が存外、弱気になられてな。無理もない、40年近くもの間、激動の時代に翻弄されたリベールを、さらには10年前に突如現れた異世界の大国――メンフィルとの関係を同盟というこの上なく素晴らしい形で女性の身で導いてくださったのだ。そう思うと、この生誕祭を最後に俗事から解放させてさしあげたい……。王位継承権を持つ身としてはそう決意した次第なのだよ。」
「なんと……陛下がそこまでお悩みになっておられたとは……。毎年、お会いしているというのに気付けなかったとは情けない……」
「し、しかし……。このような酒の入った席で聞くにはあまりにも重大な内容ですわ。失
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