第96話
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〜グランセル城内〜
「うっわ〜……」
「当然と言えば当然だけど……。今まで見てきたどの屋敷よりも圧倒的に豪華だね。」
「ただ豪華なだけじゃなくて歴史と伝統を感じさせる壮麗さ……。つくづく、旧き王国の格式と伝統を感じさせるねえ。」
城に入ったエステル達は城内の風景に感嘆の声を上げた。
「ようこそ、グランセル城へ。ジン選手御一行でいらっしゃいますわね?」
そこにカノーネとメイドの一人がエステル達に近付いて来た。
(げげっ……カノーネ大尉……)
(予想してなかったわけじゃないけど……)
カノーネの登場にエステルは嫌そうな顔をし、ヨシュアはカノーネを警戒した。
「ああ、そうだ。公爵さんの招待を受けて参上した。えっと……あんたは?」
一方、エステル達の様子に気付いていないジンはカノーネが何者かを尋ねた。
「うふふ、申し遅れました。グランセル城の警備を担当する情報部のカノーネ大尉と申します。ジン選手御一行におかれましては御優勝、おめでとうございます。試合を拝見させていただきましたが凛々しくて、本当に素敵でしたわ。」
「いやあ〜、それほどでも。そちらこそ、その若さと美貌で軍の大尉とは本当に驚きですな。よほど優秀でいらっしゃるのだろう。」
「まあ……お上手でいらっしゃいますこと。でも、そちらの若き遊撃士殿ほどではありませんわ。」
ジンの賛辞を受けたカノーネは意味深な表情でエステルとヨシュアを見た。
「……!」
「………………………………」
カノーネに見られたエステルとヨシュアは何を言われてもいいように身構えた。
「エステル・ブライトさん。ヨシュア・ブライトさん。ツァイスの事件以来ですわね?」
「……うん、そうね。」
「ご無沙汰していました。」
カノーネの当り触りのない挨拶の言葉にエステルやヨシュアは笑顔で答えた。
「あいにくですが、ラッセル博士の一件はまだ解決していないのです。どうやら、博士と孫娘さんを誘拐した不届き者がいるらしくて。エステルさんたちにお心当たりはないかしら?」
「さ、さあ〜。ぜんっぜん心当たりがないわねぇ。」
「あの事件は正遊撃士に任せて僕たちは王都に向かいましたから。その後の続報も聞いていません。」
カノーネは意味深な表情でいきなりラッセル博士達の事を尋ねたが、エステルやヨシュアは知らないフリをした。
「そう……ふふ。それは本当に残念ですわ。まあ、情報部の力をもってすれば誘拐犯の逮捕も時間の問題でしょう。楽しみに待っていてくださいね。」
(こ、この雌ギツネ〜……)
不敵な笑み浮かべて博士達を捕まえる事を宣言したカノーネを見
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