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英雄伝説〜光と闇の軌跡〜(FC篇)
第93話
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こいよ。」

ヨシュアの提案に頷いたエステルはジン達に伝えた後、一端控室を出て行った。



「………………………………」

「へえ。どういう風の吹き回しだ?お前さんのことだからてっきりついていくと思ったが。」

控室を出て行くエステル達に着いていかず、黙っているオリビエをジンは珍しく思って、尋ねた。

「いやね、2人の雰囲気が少し変わったような気がしてね。あれは何か進展があったとみたね。」

「ほう、よく見ているじゃないか。確かにあの2人、この大会に妙なプレッシャーを感じていたみたいだが……。今日はどこか吹っ切れたようないい表情をしてやがったな。いやあ、若いモンはうらやましいね。」

オリビエの観察眼にジンは感心した後、笑った。

「でも、まだまだ仕込みは不十分といったところかな。もう少し進展した方が美味しく頂けるにちがいない。フフ……からかい甲斐がありそうだ。」

「やれやれ、悪趣味だねぇ。」

オリビエの趣味の悪さにジンは呆れて、溜息を吐いた。



「ゾクッ……」

その頃、控室を出たエステルが悪寒を感じたのか、突然身を震わせた。

「どうしたの?ひょっとして体調が悪い?」

エステルの様子を見て、ヨシュアは首を傾げて尋ねた。

「ううん……。何だか邪悪な意志を感じて……。人をダシに楽しんでやろうという調子にのったヨコシマな意志を……」

「……なんとなく誰だか見当は付きそうだね。」

エステルの言葉から、ヨシュアの脳裏には控室で自分達の事で何か言っているであろうオリビエの姿が浮かんだ。



〜グランアリーナ・ホール〜



「おお……。そこにいるのはエステル君とヨシュア君か!」

「ああっ、クラウス市長!?」

「どうしてこんな所に……」

観客席を廻り、観客席にいたアルバやクルツ達に挨拶をしたエステル達がホールまで戻ると、そこにはロレントの市長――クラフスがエステル達を見つけて、エステル達の所に来た。

「いやあ、久しぶりじゃのう。シェラザード君から話を聞いて王国各地を旅しているのは知っておったが……。2人とも、しばらく見ないうちにいい顔つきになったじゃないか。」

「はは……ありがとうございます。」

「うーん、自分じゃあんまり分からないけど……。市長さんの方は相変わらず元気そうね。ちょっと安心しちゃったわ。」

クラウスの賛辞にヨシュアやエステルは苦笑しながら答えた。

「はは、まだまだ若い者には負けてはおれんよ。それより、シェラザード君からリフィア殿下達と旅をしていると聞いて、最初は驚いたぞ。」

「あ、やっぱり市長さんはリフィア達の事を知っているんだ。」

「うむ
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