第92話
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
軍きっての智将にして『剣聖』と呼ばれた最高の剣士……。退役前に、士官学校の武術教官をなさっていた時に指南して頂いた。私の剣の師匠とも言えるお方さ。」
「し、信じられない……。父さん、棒術しか使わないのに。」
棒術の使い手であるはずのカシウスがユリアに剣術を教えていた事にエステルは驚いた。
「退役して遊撃士となった時に剣は捨ててしまったらしいな。ただ敵を断つだけでなく敵を挫き、弱きを扶ける……。そういう精神の象徴として棒術を選ばれたと聞いている。」
「そうだったんだ……。あたしの棒術にそんな意味があったなんて……」
自分の武術に込められている意味を知ったエステルは驚きの溜息を吐いた。
「その精神は、間違いなく君にも受け継がれていると思うよ。誇りに思ってもいいんじゃないかな。」
「ヨシュア……」
「カシウス大佐が鍛えた君たちだ。必ずや優勝できると信じている。」
「えへへ……。ユリアさんにそう言ってもらえると何だか自信がわいてきちゃった。」
「全力を尽くします。」
ユリアの激励にエステルは笑顔になり、ヨシュアは力強く頷いた。その時、大聖堂の扉がノックされ、兵士の声が聞こえて来た。
「……失礼、王都警備隊です!現在、テロ対策の一環として主要施設の見回りをしております。夜分遅くに申しわけありませんが中を改めても構わないでしょうか?」
(やばっ……)
巡回の兵士が来た事にエステルは焦った。
「まあ……ご苦労さまです。少々お待ちください。すぐに鍵を開けますから。」
兵士に答えたユリアは再びヴェールをかぶって、顔があまり見えないよう隠した。そしてエステル達に小声で囁いた。
(祭壇部屋の方に外に通じている裏口がある。君たちはそこから行くといい。)
(うん、わかったわ!)
(ユリア中尉もどうか気を付けてください。)
そしてエステル達は裏口から大聖堂を出て、巡回の兵士達に見つからないようにホテルに向かう途中で百貨店の近くにあるベンチで休憩した。
〜グランセル東街区〜
「はあ……なんか巡回を避けているうちにこんな所まで来ちゃったわね。もう、こっちの方には兵士はいないみたいだけど……」
「うん……人の気配はないね。そろそろ夜間のパトロールも終わりみたいだ。少し休んでからホテルに戻ろうか。」
「オッケー。」
ヨシュアの提案に頷いたエステルは近くのベンチに座った。
「う〜、色々ありすぎてなんか頭がパニック状態かも……」
「はは……確かに。まさか大聖堂で待っていたのがユリア中尉だとは思わなかったな。」
「あ、そーいえば……。結局、ヨシュ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ