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英雄伝説〜焔の軌跡〜 リメイク
第78話
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さそうだが……この状況が続けば皆、参ってしまうかもしれん。」

「うむ……早急に対策を取らなくてはな。―――で、お前さんたち。ラッセル博士から託された起死回生の策というのは何かね?」

アガットとジンの推測に頷いたルグランはエステル達を見つめて尋ねた。

「起死回生というほど大げさなものじゃないけど……」

「ラッセル博士が、新発明の試作品を提供してくれたんです。」



〜昨夜・アルセイユ・作戦室〜



「―――これが試作品の『零力場(ゼロりきば)発生器』じゃ。」

「零力場……発生器?」

ラッセル博士が自分の目の前に出した装置の名前を聞いたエステルは首を傾げた。

「簡単に言うと、”ゴスペル”が発生させる特殊な波長の導力場……。それによる共鳴を相殺する力場を発生する回路というわけじゃ。」

「…………ちっとも簡単に聞こえないんですけど……」

「す、すみません……私もイマイチ理解できなくて……一体どういう意味なのでしょうか?」

「要するに『導力停止現象』を阻止できるって事でしょう?」

ラッセル博士の説明を聞いてもエステルとステラが理解できていない中、既に理解していたレンはラッセル博士に確認した。



「ええっ!?」

「ほ、本当ですか!?」

「うむ……その通りじゃ。結局、『導力停止現象』とは”ゴスペル”を通じてオーブメントの導力が吸収されるという現象じゃ。『何処へ』というのが謎じゃったがここへ至ってようやく明らかになった。」

「あの浮遊都市……”輝く環”ということですね。」

ラッセル博士の説明を続けるようにクローゼは呟いた。

「うむ、その通りですわい。”輝く環”は、異次元から”ゴスペル”という穴を通じて『導力停止現象』を起こしていた。その穴は余りに小さかったため影響範囲は狭くてすんでいたが……。”輝く環”が解放されたことでその範囲は一気に広がってしまった。それこそ王国全土を巻き込んでしまうくらいにな。」

「王国全土……」

「それが今回の現象ですか……」

「市民達の生活に間違いなく影響を与えているだろうね……」

「―――それに軍にも大打撃を与えているだろうな。この世界の兵器は”導力”を必要としているのだからな。」

ラッセル博士の説明を聞いたエステルは呆け、ヨシュアは真剣な表情をし、レイスは厳しい表情で考え込み、リオンは静かな表情で呟いた。



「うむ、おそらく王国にあるありとあらゆるオーブメントが動かなくなってしまっているはず。じゃが、この『零力場発生器』は《環》の干渉を阻止できる働きがある。―――言い換えれば、これの側にあるオーブメントは問題なく動くということなんじゃ。」
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