第12話『独りじゃない』
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つの間にか、クラスの大半の女子は席を立ち、前へと出てきて柊君の周辺に集まっていた。
いつしか柊君の涙は止まり、なんだか照れてるように見えてきた。
今まで経験したことのない、新鮮な気分なのだろう。
状況に納得した。やっぱり、クラスの皆は優しい人なのだ。
このクラスではイジメなんて起こり得ない。
救われたね、柊君。
俺は柊君に近づきこう言った。
「言ったでしょ? 君を変に扱う人はいないって」
「…うん」
彼はくすりと笑いながらそう返した。
・・・うん、確かに可愛らしい。
*
お祭り騒ぎの開始から30分。未だに止む気配はない。
そろそろ授業の時間に差し支えが出そうなんだが…まぁ良いんじゃないかな。先生も止めることはしなかった。
だが今は、先程よりも盛り上がっている気がする。
「うっ…」
「「キャアー!!」」
クラスの女子たちが黄色い声を上げる。
なぜなら柊君には“尻尾”も生えていたことが判明したのだ。
彼女らはそれを見て、さっきより一層可愛いだの何だの興奮しているようだ。
事は5分前に遡る。
なんやかんや騒いでいたクラスの女子たちが、柊君に「パーカーを脱いで」と頼んだのが始まりだ。もちろん本人は「これ以上何かあったら今度こそ嫌われる」と思ってか、頑なに拒否していた。
だが女子たちが強制的に脱衣を行ったため、彼の尻尾が眼前へと晒されたのだ。
ちなみに尻尾も狐のようであった。
彼の今の状況を説明するなら・・・『ハーレム』だろうか。クラスの大半の女子が柊君に群がっているのだから。
何か周囲の男子の目が冷たくなっている気がするが、まぁイジメに発展することはないだろう。……たぶん。
「あの…そろそろ離して貰えると…嬉しいのですが…」
女子にもみくちゃにされながら柊君がそう言った。さすがに彼にもこの状況がキツいのだろうか。その気持ちよくわかる。入学式の俺もそうだったから。
「皆さん、続きは後にしましょうか。そろそろ1限が始まります」
先生が柊君に助け船を出した。
まぁ“後に”と言ったので、休み時間がどうなることやら・・・。
*
案の定、どの休み時間も女子の騒ぎが落ち着くことはなかった。むしろ、ひどくなったと言うべきだろう。
そして、安定して柊君が可愛がられる。俺は憎たらしいとは思わないけど、やはり他の男子の目が……。
だが、昼休みは違った。柊君が逃げたのだ。
無論、女子は逃げるとは思っていなかったらしく、柊君が教室から飛び出た後もずっとあたふたとしていた。
しかし俺はいち早く、彼を追いかけた。
「柊君!」
俺は彼
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