第11話『空白の一席』
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り、支給をする。
これが全てか。なんて親だ。
「僕は外にも出れない。この見た目のせいで気味悪がられるのは明白なんだ。そして・・・」
「そんなことはない」
柊君の言葉を先生が遮った。
「私のクラスは君を変に扱うことはない。絶対に君をクラスメートとして迎えてくれる」
先生は『絶対に』を特に強調して言った。
うん。どんな見た目だろうと俺は差別はしないぞ!
「だから一度来てみないか? 一度で良いんだ」
「……」
迷ってる…のか?
だが良いチャンスだ。このままいけば柊君が復帰できるんじゃないか!?
「……やっぱり無理です。僕は他人と関わりたくない」
「そこまでだ、柊君!」
「え?」
先生が急に大きな声で・・・ん? 俺の声じゃん。まさか、また口が勝手に…!?
「君は一人じゃない。俺がいる!」
「は…?」
何言ってんだ俺!?
そりゃ、見ず知らずの人に仲間だなんて言われたら挙動不審になっちゃうだろうが!
だが俺の口は止まらない。
「俺は君と仲良くなりたい! 例え君が病気だとしても! 俺は友達が欲しいんだ!」
自分で言ってるのに、すごい恥ずかしいんだけど。
でも、この際洗いざらい言ってやろう。
「学校は楽しいよ。俺は君の味方だ。明日から学校に来てくれないか?」
「……」
柊君は答えなかった。
俺は先生に告げた。
「先生、行きましょう」
「え、いいのかい?」
「言うことは言いましたから。後は彼自身です…」
俺は振り返ることもなくマンションを出た。先生は何か言いたげだったが、何も言ってくることはなかった。
そのまま俺は先生に送って貰い、自宅に帰った。
そして翌日を迎えた。
*
「えっと…では出てきて下さい」
まるで転校生が来たかのような状況だが、決してそうではない。
なんと俺の説得の甲斐あってか、柊君が学校に来たのだ!
もちろん、皆は俺の奮闘を知らないのだが。
先生に促された柊君は、教室の前のドアから入ってきた。
だが、その姿には違和感があった。なんと茶色のパーカーを着ており、フードを被っていたのだ。
しかも他にも驚くことがあり、なんと柊君は美少年と呼べる…いや、下手すれば美少女と呼ばれそうなほど幼く整った顔立ちをしていた。見た限りその顔に異常はない。
体は制服とパーカーで隠れているため、肌は見えない。つまりは、今の柊君はどう見ても“普通”なのだ。
「自己紹介は自分でできるよね?」
「…柊…狐太郎です」
小さい声で話す柊君。
そして直後、恥ずかしいからか
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