第11話『空白の一席』
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「うわぉっ!?」
俺はたまらず尻餅をつく。
当たり前だ。ドアのすぐ向こうから声が聴こえてきたのだから。音なんて全くなかったのに。
たぶん、柊君だ。その声は弱々しく、どこか幼かった。
「何の用ですか、先生? しかも生徒まで連れて」
柊君は話を続けた。
察するに、先生の存在は認知してるようだ。
「丁度良かった、柊君。今日こそ話をしたい」
「断ります。僕は他人と関わりたくありません」
先生は柊君と話せたことにはノータッチで話そうとし始めた。
ただ気になるのがどうして話し掛けたんだ? 先生の話だと声も聴かせてくれなかったらしいし。もしや俺のおかげ…? いや、期待しないでおこう。
「先生は君を放っとけない」
「騙されません。もう二度と酷い目には遭いたくない」
騙された? 二度と?
もしかしなくても昔に何かあったのか?
よく考えよう。
まず、彼は一人で自宅に居る。つまりは命に関わる病気では無い…?
そして、声を掛けた。体調は普通。
それで『酷い目』。イジメ・・・ってことは見た目に異常?
…まぁここまでは既に考えが行っている。
後は・・・どうするか。
先生に堂々と俺が行くとか何とか言ったしな〜。良い方向に進展してほしいが…。
とりあえず今は先生に任せよう。大抵のことなら山本先生はできる。会話できる以上、何とかなりそうだが…。
「…君が過去に何があったか教えてくれるかい?」
「そうやって僕の同情を買うつもりですか? 言っておきますが、僕は学校には行かない。義務教育なんて知りませんよ」
うわぁ…。完全に嫌っちゃってるよ。何とかなるの、これ?
「ではどうしてそんなに学校が嫌いなんだ?」
「……イジメですよ。僕の見た目をネタに」
ふむ。やっぱりか。
病気で見た目に異常・・・蕁麻疹とかか? いや、そんな軽い感じじゃなさそうだ。
「先生たちだって僕を見れば、絶対に変な扱いをする。僕はこの見た目のせいで、存在を貶された。人から避けられた。守ってくれる人も居なかった!」
あれ? 意外と語り出したぞ?
やっぱ話してみるものなのか?
・・・てか、あれ? 『守ってくれる人が居ない』? それって・・・
「君の両親は君の病気を治すために海外にいると聞いているが…」
「そんなの嘘ですよ。あの人たちは突然僕の前からいなくなったんです。逃げたんですよ!」
…マジかよ。
いくら病気の治療のためとはいえ、子供と別居しているというのは確かにおかしい。逃げたと考えるのが妥当だ。
異常な姿をする子供の親と思われたくない…ってか。もう近くで関わりたくない、だから海外に。でも罪悪感があ
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