第11話『空白の一席』
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と行くことはできない。
しかもこの線となると、大半が“大きな”病気を持っているのだろう。そうなると全員が困る。特別学級に・・・という話も出てくることだろう。それで事が済むのなら良いのだが、現状は甘くないようだ。
「実を言うと、私も柊君を見たことはないんだ」
「えっ!? どうしてですか?」
「彼は人と会うのを拒んでいるんだ」
俺が察しがついた。
病気は表面上に出てるんだ、と。恐らく、顔、手、脚・・・皆の目につく部位にだろう。
どこの時代でも、そういう人が学校でイジメられるのは明白である。そしてまた学校には来なくなる。一度学校に来てしまえば、彼にはそんな悪循環が起こってしまうのだろう。
「家には何度か行ってみたが誰も出てくれなかったよ」
「え、親は…?」
「今は外国に住んでいるそうだ。柊君を置いて」
「一人暮らし!?」
これは驚く以外他ない。
何せ中学生に入ったばっかの同級生の子が、一人暮らしをしていると言われたのだから。
「えぇ…大丈夫なんですか、それ?」
「両親が色々手を打っているらしく、問題ないみたいだね」
色々…というのが気になるが、一番の問題はそこではない。
柊君の学校嫌い…いや、人嫌いをどうにかしなくてはならない。
話を聞く限りでは柊君の精神問題が原因だと思う。彼に「学校に行きたい」、もしくは「行ってみたい」などと思わせれば解決するはずだ。
「策は無いんですか…?」
「彼が自分で決めない限りは…」
どうやら先生も辛い立場のようだ。
本来なら自分で何とかしないといけないのに、方法が一切ないのだから。
「先生。俺が柊君の家に行ってみても良いですか?」
「えっ?」
先生が意外そうな顔をする。なぜか俺も。
どうしてそんな言葉が口から出たのだろうか。人と関わることが苦手な俺から…。
けど、今さら引き下がれない。
「住所わかりますよね? お願いします。今日の放課後に行ってきます」
「……」
俺は口から次々と出てくる言葉を止めることはできなかった。けどそれは、俺の意志だったということだろう。
一方、先生は個人情報を教えていいものかと悩んでいる様に見えた。
「…わかった。この際仕方ない。ただし私も一緒に行かせてもらう。それで良いね?」
「はい!」
何だかんだで約束してしまった。
だが不思議と後悔の念はない。早く行きたいとウズウズするくらいだ。
こうなった以上、何としても説得してやる!
*
「…まだかな」
俺は独りでに呟く。
今は放課後で皆は下校中。その中でただ一人俺は校門に立っていた。理由としては、先生が待って
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