第10話『体育の時間』
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マットから響く不格好な着地の音。
そして・・・
ゴチン
「痛っ!!」
マットからはみ出て軽く床に頭をぶつけ、悲痛な声を洩らす俺。
骨折等の怪我は免れたが、クラスの男子に変な痴態を晒してしまった。
「ん〜。晴登君は8段はいけるんじゃないか?」
「そんな気がします…」
相変わらず寝転がったまま天を仰ぐ俺に、先生は言った。
確かに勢いが良かったってことは、もう少し上はいけるってことだもんね。とりあえず生きてて良かった。
「じゃあ三浦君も終わったし、皆さん次に行きましょうか」
「「??」」
ふと放たれた山本の言葉は俺たちの動きを止めた。
当たり前だ。誰もが「今日は跳び箱の授業だ」と思っていたのだから。
「次ってどこですか?」
皆を代表して俺が訊く。すると山本は穏やかな顔で返した。
「言ったじゃないですか、君たちの基礎体力を知りたいって。跳び箱だけじゃ分かんないでしょう?」
「それはそうですけど…」
「大丈夫。もういっそ、体力テストとでも思えば楽になるかもね」
体力テスト…か。先生はやることが大きいな。たかが基礎体力確認なのに…。
俺の運動能力の無さを改めて知るのはごめんだよ…。
「四の五の言っても変わりませんよ? とりあえずついてきてください」
無理だ。この人には逆らえない…。
「着いたよ」
「先生・・・」
俺は目の前の光景に戦慄した。
言ってやれ。このおかしな先生に!
「これ、どう見ても“ロッククライム”ですよね!?」
俺らクラスの男子の前に現れたのは、テレビでよく見る“壁に色とりどりの石が組み込まれているやつ”だった。つまり登るやつ。
「まさか登れとか言いませんよね…」
「言わないと話が進まないんですけどね」
もうヤダ! 勘弁してくれ!
何で中学生がロッククライムなんかしなきゃいけないの!? おかしいよ!!
これで何の能力がわかるって言うんだ!
「では大地君、やってもらえるかな?」
「良いですよ」
大地が引き受けた以上、俺たちはやらなければならなくなった。裏切り者め…。
もうダメだ。諦めよう。腹を括るとはこのことだろう。
「じゃあ行きますよ」
いつの間にか命綱を取り付けた大地。
先生に確認をとり、今にも登れそうな状況だった。
「はい。気をつけて」
「よしっ!」
「……」
大地、お前本当はやったことあるだろ。どうしてそんなにヒョイヒョイ登れるの? 運動ができるって言っても限度はあるよね?!
そんな俺の気を知る訳もなく、大地
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