第4話 僕と彼女の小さな思い出
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そして凛は話しながら飲んでいた空のスポーツドリンクを公園のごみ箱に捨て、くるりと振り返った彼女は、
「あの時...ううん、”あの出来事”から...ずっとりんを見守ってくれててありがとね!春くん!!」
「...うん!どういたしまして♪」
”夕陽”のようにキラキラした可愛い笑顔で凛はそう言った。
なんとなく...その笑顔は”あの出来事”のあとに見たソレと同じように見えた。
「ひゃっ!」
「うわっ、寒い...」
ひゅうっと、僕たちの間を夜の春風が吹き抜ける。僕はそこまでではなかったけど、凛はこの肌寒い中その格好で走って、恐らく汗が引いて体が冷えてしまったのだろう。
風がやんだ後もプルプルと体を震えさせていた。見るに堪えかねなくなった僕はパジャマの上に着ていたカーディガンを凛にかけてあげる。
「あ、ありがと...。」
「どういたしまして。運動してる凛ちゃんの体調管理をするのも僕や花陽の務めだからね、気にしないで」
「でも春くん、パジャマだから...春くんの方こそ風邪ひくにゃ。」
「大丈夫だよ、こう見えて頑丈だから。」
心配させまいと適当にそれらしいことを言って話を逸らす。
だからと言って僕も寒くないとは言い切れない。あまり長居はできないみたいだ...
「よし!!春くん、体を温めるために今からラーメン食べに行くにゃ!それにりん走ったからお腹減ったにゃ!!」
「え、えぇぇぇ!!??ま待って!僕お金そんなに持ってきてないよ!!??僕パジャマだよ!?」
「だいじょーぶにゃ!りんの常連のお店ならすこし安くしてくれるからきっと春くんも気に入ってくれるにゃ!」
僕はそういうことを言ってるんじゃないよ...
...でも、さっきまでの暗い表情から一変して目の中に星を出すような勢いで笑っている。
やっぱり凛ちゃんはこっちの方が凛ちゃんらしいなぁ、と思いながら
「いっくにゃーーーーーー!!!!!!」
「待って!待って!うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
お腹の中の夕飯と「これからラーメン入るけど大丈夫かい?」と相談しながら、凛に成されるがままに公園内を後にする。
僕の幼馴染、星空凛はとっても女の子らしくて...元気な少女だ。
...もう少し、人の話を聞いては欲しいけど
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