第八話 安息日にその七
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「やっぱり僕はね」
「薔薇よね」
「凄く華やかで」
それに、というのだ。
「香りもいいから」
「大好きなのね」
「そうなの」
こう笑顔で言うのだった。
「僕はね」
「じゃあここに来ることが」
「一番の楽しみだったんだ」
「今日のなのね」
「うん、そうだったんだ」
実際にというのだ。
「他の場所も楽しみだったし楽しんだけれど」
「それでもなのね」
「ここに来るのがね」
この薔薇園がというのだ。
「楽しみだったから」
「一番のね」
「いや、最後の最後でここに来て」
「嬉しいわね」
「とてもね、凄いよねここ」
今度は薔薇園の全てを見回しつつ言った。
「色々な種類の薔薇が一杯咲いていて」
「一体どれだけの薔薇があるのかしら」
「千じゃきかないよね」
「何千とあるわね」
「これだけの数の薔薇があると」
「それこそっていうのね」
「観ているだけでね」
優花は満足している口調だった、それが表情にも出ている。
「満足だよ」
「そしてその薔薇の中で」
「青い薔薇がね」
この薔薇の名前をだ、優花は出した。
「一番好きだよ」
「有り得ない筈の存在だけれど」
「今はあるって思うと」
「それだけで」
「凄く不思議な気持ちにもなるから」
だからだというのだ。
「僕青い薔薇が一番好きなんだ」
「その薔薇の中でも」
「一番ね」
「そうよね、じゃあ」
「最後は」
「青い薔薇のところに行くわね」
「そのつもりだよね、姉さんも」
優花は咲き誇る赤薔薇達の中で言った。
「最後は」
「言ってたでしょ」
「最後の最後でね」
「そのつもりだったからね」
「今ここに来たんだね」
「そうよ」
その通りという返事だった。
「じゃあまずはね」
「ここで他の薔薇達を観て」
「最後にね」
「青い薔薇だね」
「そうしていくわよ、そして」
「そして?」
「それが最後だから」
だからとも言った優子だった。
「いいわね」
「わかったよ」
「帰りは何でも言って」
「何でもって?」
「お金はあるから」
弟に顔を向けてこうも言ったのだった。
「何でも好きなもの食べてもいいよ」
「夜は姉さんがなんだ」
「出すから」
それで、というのだ。
「何でも言ってね」
「それじゃあね」
優花は姉の言葉に頷いてだ、そのうえで。
二人でだ、薔薇達を見て回った。それから。
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