第80話(3章終了)
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〜レイストン要塞・ゲート前〜
「ふう……。何とか脱出できたわね。まだ、こっちの方まではパトロールに来てないみたい。」
見回りの兵士がいない事にエステルは安堵の溜息を吐いた。
「シード少佐が引き留めているのかもね。でも、グズグズしていたら追跡部隊が編成されると思う。ギルドでプリネも言ってたけど、どこか安全な場所に博士たちを逃がさないと……」
「…………ふむ…………」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん……」
ヨシュアの言葉に博士は考え込み、ティータは心配そうな表情でエステル達を見た。
「あ、心配することないからね。ティータと博士のことは絶対に守ってあげるんだから。」
「フフ……この私がいれば、人間2人の護衛ぐらい余裕ですわ!」
心配そうにしているティータを安心させるようにエステルは言い、フィニリィは胸を張って答えた。
「……いや。お前らはここで手を引け」
「え……!?」
「どういうことですか?」
しかしアガットの言葉に驚き、エステル達は反論しようとした。
「今回の一件で、俺は完全に情報部の連中にマークされた。そして、爺さんとティータも同じように追われ続けるはずだ。逃げるついでに、あのメンフィルの小娘が言ってたように2人まとめて安全な場所まで逃がしてやるよ。」
「アガットさん……」
「なるほど、そう来たか。そうじゃな。わしらに巻き込まれる人間は少なければ少ない方がいい。本当なら、ティータも巻き込みたくはなかったが……。人質に取られることを考えると一緒に逃げた方がいいじゃろう。」
「おじいちゃん……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!あたしたちだけ安全だなんてそんなの絶対に納得いかない!ヨシュアもそう思うでしょ?」
アガットの説明に博士やティータは納得したが、エステルは納得できず反論して、ヨシュアやフィニリィに同意を求めた。
「いや……。ここはアガットさんが正しい。」
「ええ、確かに理に適っていますわ。」
しかしヨシュアやフィニリィは納得した表情で答えた。
「へっ……」
「逃亡・潜伏のセオリーだと一緒に行動する人間が多くなると、それだけ逃げ隠れがしにくくなる。その意味では、アガットさんだけで博士を逃がした方がいいんだ。君の気持ちは分かるけど……ここはアガットさんに従おう。それにフィニリィはプリネが契約している精霊だよ?」
「ええ、私はこれでもプリネと契約している身ですから、契約者と長時間離れていたら、魔力の供給もできませんから、どの道私はついていけませんわ。」
「そ、そんな……」
「さすがだな、ヨシュア。よく分かってるじゃないか。エステル、ここは素直に引いても
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