第80話(3章終了)
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らうぜ。」
「で、でも……。理屈では分かるんだけど……」
ヨシュアに説明されたエステルだったが、それでも納得できない様子だった。
「エステルお姉ちゃん……」
「ふむ、あくまで納得できない顔をしとるのう。ならば、わしの代わりにある仕事を引き受けてくれんか?」
エステルの様子を見てティータは何も言えなかったが、見兼ねた博士がエステル達に提案をした。
「え……」
「まず、王都に向かってほしい。そして、グランセル城にいるアリシア女王陛下と面会してくれんか。」
「じょ、女王様に面会〜!?」
「どういう事でしょうか?」
博士の提案にエステルとヨシュアは驚いて、尋ねた。
「例の『黒の導力器』じゃが……。あれは元々、リシャール大佐がどこからか入手した物らしい。彼は『黒の導力器』のことを『ゴスペル』と呼んでおったよ。」
「福音……ですか。」
「ケッ……。ご大層な名前じゃねえか。」
「あら、名前をつけるセンスはそこそこあるようですわね。」
黒の導力器の名前――ゴスペルを知ったヨシュアは考え込み、アガットは鼻をならし、フィニリィは以外そうな表情をした。
「どうやら、『ゴスペル』は何者かによって情報部から持ち出されたらしい。恐らく、その持ち出した人間が小包でカシウス宛に送ったのじゃろう。じゃが、あの導力停止現象で所在が情報部に知られてしまった。あの黒装束―――特務兵どもが中央工房を襲撃した真の理由はわしでも演算オーブメントでもない。あれを回収するためだったのじゃ。」
「そ、そうだったんだ……」
「なるほど……。それで色々納得できました。」
中央工房襲撃と博士誘拐の真実を知ったエステルとヨシュアは真剣な表情になった。
「リシャール大佐は、あれを使って王都で何かをしようとしておる。わしのカンが正しければ……非常にマズイことが起きるはずじゃ。その事を陛下に伝えて欲しくてな。」
「非常にマズイこと……。あの導力停止現象ってやつ?」
「いや……。おそらくそれを利用した……。……すまん、これ以上はわしの口から言うわけにはいかん。とにかく、あの『ゴスペル』について陛下に直接伝えて欲しいのじゃ。逃亡するわしの代理としてな。」
「はあ……まったくもう。そんな風に言われたら断るに断れないじゃない。」
「僕たちでよければ引き受けさせてもらいます。」
博士の説明を聞き、エステルとヨシュアは表情を和らげて答えた。
「すまんな、よろしく頼んだぞ。」
「あ、あの……。エステルお姉ちゃん。……ヨシュアお兄ちゃん……」
一方ティータは寂しそうな表情でエステルとヨシュアを見た。
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