第79話
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「中央工房の襲撃事件を親衛隊の仕業に偽装したらしい。ご丁寧にも証拠写真まで用意したようだ。」
「ドロシーさんの写真か……」
シードの説明を聞いて、親衛隊が嵌められた写真の出所に心当たりがあったヨシュアは思わず呟いた。
「そ、そんなのおかしーですっ!中央工房をめちゃくちゃにしておじいちゃんを掠って……。アガットさんを撃って死にそうな目に遭わせたのに……。それを人のせいにするなんて!」
「ああ……返す言葉もない。上官の命令は絶対だが……黙認した私にも責任がある。だから……せめてもの罪滅ぼしをさせて欲しかった。」
珍しく怒りを表したティータにシードは申し訳なさそうな表情で言った。
「難儀な人だな、あんた。」
アガットは何も出来ないシードに同情した。
「フン、そういう事であれば無礼の数々は水に流してやろう。その石頭を、スパナで叩くくらいで勘弁してやるわい。」
「きょ、恐縮です。」
「お、おじいちゃんってばぁ。」
「冗談じゃ。」
「ねえ……メンフィルは今回の件はどうするの?リベールの同盟国なんでしょう?」
エステルはある事に気付いて、シードに尋ねた。
「申し訳ないがそれはわからない。………ただ、もしメンフィルが今回の件に介入してしまったら、恐らく周辺国からはリベールはメンフィルの支配国と見られてしまうだろう。
………正直、メンフィルには今回の件に介入してほしくないんだ……」
「そっか…………話はわかったけど……。これからどうするつもりなの?ほとぼりが冷めるまであたしたちを匿ってくれるの?」
自分にとって恩人であり、友人もいるメンフィルに介入されたくない事が言われている事に複雑な気持ちを抱いたエステルだったが、気を取り直して尋ねた。
「いや、それよりもはるかに安全な方法がある。君たちには、この部屋から要塞を脱出してもらいたい。」
「この部屋って……」
シードの言葉が理解できず、エステルは周囲を見た。
「なるほど……。脱出口があるんですね?」
「ふふ、なかなか鋭いな。」
ヨシュアの言葉に笑みを浮かべたシードは部屋の壁を押した。すると隠し扉が現れた。
「わわっ……」
「さすが軍の司令室。なかなか凝ってるじゃねえか。」
「この緊急退避口を使えば要塞の裏にある水路に出られる。ボートが用意されているからそれを使って脱出できるはずだ。本来なら、部外者に明かしたら禁固10年は確実なのだが……。まあ、軍規は許してくれなくとも女神達は許してくれるだろうよ。」
「少佐さん……」
軍規を破ってまで自分達を助力してくれるシードをティータは心配そう
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