第78話
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「クスクス、言い得て妙ですわね。」
「あはは、博士ってばうまいことを言うわね〜!」
「お、おじいちゃん。失礼なこと言っちゃダメだよ。この人はアガットさん。ギルドの遊撃士さんでお姉ちゃんたちの先輩なの。」
アガットに対する博士の言葉にフィニリィやエステルは笑い、ティータは慌ててアガットの事を説明した。
「ほう、お前さんも遊撃士じゃったか。そういや前に、カシウスから聞いたことがあるのう。いつも拗ねてばかりいる不良あがりの若手がおると。」
「あ、あんのヒゲオヤジ……!」
「まあまあ、アガットさん。博士も、詳しい話は後にして急いで脱出の準備をしてください。何か持っていくものはありますか?」
カシウスに対して怒りを抱いているアガットを宥めたヨシュアは博士に尋ねた。
「そうか……。ならば、『カペル』の中枢ユニットを運んで行ってくれんか?下手に置いていったらまた連中に悪用されそうじゃ。」
「わかりました。」
ヨシュアは機械についている装置を外して、博士に渡した。
「わしはそいつを使って『黒の導力器』の制御方法を研究させられていたんじゃ。構造そのものは解析できなかったが、データと制御方法は弾き出してしまった。これで連中は、いつでも好きな時に例の現象を起こすことができるじゃろう。」
「そっか……」
特務兵達が導力停止現象をいつでも起こせる事を知ったエステルは複雑そうな表情をした。
「すまん、エステル、ヨシュア。せっかくお前さんたちが届けてくれた品物じゃったのに……」
「どうか気にしないでください。ティータの身の安全を盾にされたら従うしかないのは当然でしょう。」
「むしろ、あたしたちの方が博士たちを巻き込んじゃったみたい。」
頭を下げて謝る博士にヨシュアとエステルは慰めた。
「だーっ!ウダウダ言ってるヒマはねぇ!準備もできたし脱出するぞ!爺さんは、ギックリ腰にならない程度に急ぎやがれ!」
「フン、言いおったな……。まだまだ若いモンに負けん所を見せてくれるわ!」
「も、もう、2人とも……」
ティータはまた言い合いを始めた博士とアガットを見て、ティータは苦笑した。
「全くもう、揃いもそろって……ここが敵地である事が理解していますの?脱出するなら急いだほうがいいですわよ!」
博士やアガットの言い合いを呆れた表情で見ていたフィニリィは脱出を促した。そしてエステル達は脱出するための小型の船を確保するために波止場へと向かった………
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