第61話
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メルの惨劇』の真相だ。」
「………………………………(そっか……だからイオンさんやステラさん達はあたし達に話せなかったんだ……)」
”ハーメル”の真実を知ったエステルは悲しそうな表情で黙り込んでいた。
「そんな日々の中……ヨシュアの心は完全に壊れた。姉の死、親の死、隣人の死、初めて人の命を奪ったショック、そして欺瞞に満ちた世の中……。6歳の子どもの心が壊れるには充分すぎるほどの出来事だった。」
「………………………………」
「多分、その先のことはヨシュアから聞いているだろう。心が壊れたヨシュアはハーモニカ以外に興味を無くし、次第に痩せ衰えていった。そんなヨシュアと俺の前にあのワイスマンが現れて……。俺は彼にヨシュアを預けて”身喰らう蛇”に身を投じた。そしてその2年後……。教授に調整されたヨシュアも俺と同じ道を辿ることになった。」
「………………………………」
「―――これが闇だ。エステル・ブライト。お前とヨシュアの間にどんな断絶があるのか……ようやく理解できたか?」
「………………………………。……うん。やっと、ヨシュアが居なくなった本当の理由が見えてきた気がする。」
レーヴェの話を全て聞き終えたエステルは静かに答え
「なに……?」
一方エステルから予想外の答えが返って来た事に驚いたレーヴェは驚きの表情でエステルを見た。
「―――教授の誘いは今ここで断らせてもらうわ。あたしは絶対に”身喰らう蛇”には入らない。”結社”が好きか嫌いかそういうのとは関係なく……あたしがヨシュアを追い続ける限り、絶対にね。」
「………………………………フッ……おかしな娘だ。今の話を聞いて逆に迷いを吹っ切るとはな。どうやら、ただ”剣聖”の娘というわけでは無さそうだ。」
決意の表情で自分を見つめるエステルの目を見たレーヴェは黙り込んだ後、口元に笑みを浮かべて、エステルに感心した。
「そ、そう?よく分からないけど……。そういうあなたこそ、ただヨシュアの昔の仲間ってだけじゃなかったわけね。お兄さん的な存在だったんだ。」
「………………………………。誤解のないように言っておくが俺があいつの兄代わりだったのは10年前までだ。今の俺にとって、あいつは排除すべき危険分子に過ぎない。」
「え……」
「教授はヨシュアを泳がせて楽しんでいるようだが……。俺の考えは教授とは異なる。いずれ近いうちに俺自身の手で始末するつもりだ。」
「ちょ、ちょっと!どーしてそうなるのよ!?カリンさんに……ヨシュアのお姉さんに頼まれたんでしょっ!?」
「俺は俺の、選んだ道がある。その道を遮るものは如何なるものも斬ると決めた。たとえそれがカリンの願いであっ
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