第60話
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ルがふと呟いた言葉を聞いたユウナは不思議そうな表情をしたが
「……ま、今はいいか。それじゃあ行ってくるわね。」
「うふふ、行ってらっしゃい。」
エステルはユウナの疑問に答えず、部屋の中に入って行った。
〜グロリアス・聖堂〜
エステルが部屋に入るとオルガンの音が聞こえ、周囲はどことなく聖なる気配を纏わせた広い空間で、オルガンの前の椅子にはワイスマンが座ってオルガンを弾いていた。
「ようこそ……”紅の方舟”グロリアスへ。久しぶりだね、エステル君。」
そしてエステルが近づく気配を感じたワイスマンはオルガンを弾くのを中断して椅子から立ち上がってエステルを見つめた。
「アルバ教授……。やっぱりあなただったんだ。さっき声を聞いてようやく思い出せたわ。」
「フフ、さすがは”剣聖”の娘といったところかな。軽くとはいえ、封鎖された記憶を自力で思い出してしまうとはね。」
自らの力で自分の封印を解いたエステルをワイスマンは感心しながら見つめていた。
「………………………………」
「ちなみに本当の名前は、ゲオルグ・ワイスマンという。”身喰らう蛇”を管理する”蛇の使徒”の一柱を任されている。」
「”蛇の使徒”……。”結社”の最高幹部ってとこ?」
「まあ、そのようなものだ。さてと―――先ほど言ったように私には君の疑問に答える用意がある。何か聞きたいことはあるかね?」
エステルの疑問に答えたワイスマンはエステルに尋ねた。
「………………………………。……聞きたいことがあり過ぎて何から聞こうか迷うんだけど……」
「焦ることはない。ゆっくりと考えたまえ。よかったら一曲、弾かせてもらおうか?」
「結構よ。ていうか、そんな趣味を持ってる人とは思わなかったんだけど……。貧乏な考古学者っていうのは完全に嘘っぱちだったわけね。」
かつてアルバ教授としてのワイスマンと出会った時の自己紹介を思い出したエステルは騙された事に怒りを感じながらジト目でワイスマンを睨んだ。
「フフ、貧乏はともかく考古学を研究してるのは本当さ。ちなみにパイプオルガンは教会にいた頃、嗜んでいたものでね。あの帝国人ほどではないが、それなりの腕前だっただろう?」
「きょ、教会にいた……?」
「いわゆる学僧というやつさ。”盟主”と邂逅したことで信仰の道は捨ててしまったが……。その時に学んだ古代遺物アーティファクトの知識は今もそれなりに役立っている。そう、今回の計画においてもね。」
「………………………………。大佐をそそのかしてクーデターを起こさせたのも……各地で”ゴスペル”の実験をして色々な騒ぎを起こさせたのも……全部…
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