第3章〜黒のオーブメント〜 第64話
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ーヌは面倒事を避けるために知らないフリをした。
「(ハァ……全部、聞こえてるよ……)それよりそろそろ行こうか。昼ごろにはツァイスに着きたいし。」
プリネ達の小声の会話や独り言が聞こえていたヨシュアは心の中で溜息をつき、気を取り直してエステル達に言った。
「そうね。じゃあ、行きましょうか。」
そしてエステル達はツァイスに向かって足を進めた。しばらく歩くとツァイス方面から走って来る足音と声がした。
「はぁはぁ……。い、急がなくっちゃ……」
「あれ……?」
「……誰か来るみたいだね」
聞き覚えのない声が道の先から聞こえたエステル達は足を止めた。すると赤を基調とした作業着を着たミントやツーヤぐらいの体が小さい少女が走って現れた。
「あ……」
少女はエステル達を見ると、立ち止まった。
「やあ、こんにちは」
「どうしたの、そんなに急いで?」
「あ、はい、こんにちは。あの、お姉さんたち、この道を通ってきたんですか?」
ヨシュアやエステルに話しかけられた少女は礼儀正しく答えた後、尋ねた。
「うん、そうだけど?」
「あのあの、だったら途中に消えた照明を見ませんでした?トンネルの壁についている照明のことなんですけど……」
「む〜……ごめん。ちょっと気付かなかったか。」
少女に尋ねられたエステルはすまなさそうな表情で答えた。
「消えた照明はなかったけど、川を2つ越えたところで調子が悪そうなのは見かけたよ。」
「それですっ!や、やっぱり思ったとおりだよ〜……。すみませんっ。わたし急がなくっちゃ!」
ヨシュアの答えを聞いた少女は慌ただしくルーアン方面に向かって走って行った。
「ツァイスの女の子かな。変わった格好をしてたね。ずいぶん慌てていたけど……」
「うーん。なんか気になるわね〜。ね、ヨシュア。ちょっと追いかけてみない?」
「そう言うと思ったよ。たしかに女の子を1人で行かせるのは危険そうだからね。付いていった方が良さそうだ。」
「そうね……ミントやツーヤは事情が特殊だし、実際戦えるからいいとして……あの子、どう見ても普通の女の子に見えたし心配だわ。」
「決まりですね。では、急ぎましょう。子供の足とは言え、油断はできません。」
「うむ!」
「ん。」
「はーい!」
「わかりました。」
そしてエステル達は来た道を引き返して急いで女の子の後を追った。
女の子を追って急いで道を引き返したエステル達はしばらく戻ると女の子を発見した。
「はうぅ〜っ……」
そこには女の子に気付かず消えかかっている照明に魔獣が群がっていた。女の子はその
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