第52話
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はないんじゃが、そう思い込んでしまったんじゃな。そして激しく自分を責めた挙句、村から飛び出してしまった。どうすればミーシャに償えるか、その答えを探すために。おそらくルーアンで荒れた日々を過ごしていたのも、その答えが見つからなかったからじゃろう。」
「………………………………」
「その後、良い導きがあって遊撃士の道を志したようじゃが……。どうやら未だ、あやつは答えを見つけてはおらぬらしい。10年前と同じように深い哀しみと、自分への怒りに囚われてしまっておるようじゃ。」
「……やり切れぬ話だ。」
村長の説明を聞き終えたモルガンは目を伏せた。
「……ねえ、将軍さん……。やっぱりあたしたちも、竜対策に協力させてくれない?」
「なに……?」
「遊撃士には軍にはない強みが確実にある。フットワークの軽さとか、市民との距離の近さとか……。軍人さんが普段入らないような奥地にも出かけたりするしね。きっとお役に立ってみせるから。」
「だが……」
「アガットが遊撃士になったのはそうした所に可能性を感じたからじゃないかと思うの。どうしたら妹さんに償えるか、その答えを見つける可能性を……。……その意味では、アガットが父さんに誘われて遊撃士になったのはすごく納得できると思う。父さんは、お母さんやあたしを守れなかった事がきっかけで遊撃士になったから……」
「………………………………」
エステルの提案と説明をモルガン将軍は何も言わず黙って聞き続け
「遊撃士の可能性をもう一度、確かめるためにも……。何よりも、目の前で困っている人たちの力になるためにも……。あたしは、今の自分にできる精一杯のことはしておきたい。だから……どうか協力させてください。」
「エステル……」
「うふふ、さすがエステルね。」
真剣な表情でモルガン将軍を見つめて真摯に頭を下げるエステルの様子をルークは驚き、レンは感心していた。
「………………………………。10年前、ボース地方にも遊撃士がいればあるいは……」
「へ?」
「いや……何でもない。多忙なカシウスに代わって今回の竜対策の指揮はわしが行うことになった。そろそろハーケン門に戻って軍議を始めなくてはならん。おぬしの提案はその時に検討させてもらおう。」
「そ、それじゃあ……!」
「早とちりするでない。あくまで検討するだけだ。今夜中に、軍議の結果をボース支部に連絡しよう。約束できるのはそのくらいだ。」
「……うん、わかりました。」
「連絡、待っているぜ。」
エステルとルークの返事を聞いたモルガン将軍は立ち上がり
「それではわしはこれで失礼させてもらおう。村長殿、お邪魔
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