精神の奥底
57 少年の美学
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そうな服がいっぱいあるのに」
「そうですよ。兄さんもたまにはオシャレしてみたらいいですよ」
「オシャレね……それより本かPCパーツを」
「もう……」
メリーはやや呆れ顔だった。
説得は諦め、アイリスと共に商品が並ぶ棚の方へ向かう。
そんな中、アイリスはこっそりとメリーに質問した。
「サイトくんって服とかに興味無いんだ」
「ええ、いつもこのブランドの服、それも同じような服の色違いばかりで」
「確かに服の種類も多いけど、色も多い……」
「アイリスさんは付き合い短いから分からないかもしれませんが、いつもワイシャツ、ベスト、Tシャツ、パーカー、この4種類、あと色違いを組み合わせてバリエーションを増やしていますけど、実際に持ってる数としては少ないです。しかもオールシーズンに渡ってジーンズですからね」
アイリスは彩斗と出会ってまで数日、あの間に来ていた服を思い出す。
確かに言われてみれば、最初の夜が白のワイシャツにジーンズ、ナイトメアの影響から回復して学校に突撃した昨日がワイシャツにマリンパーカー、そして今日がワイシャツにジレベスト。
バリエーションがあるようでどれも無地で同じブランド、特徴と呼べる特徴も無く、もしあれで色違いが数着あれば、持っている服の数自体は少なくとも組み合わせでかなりのバリエーションが生まれる。
メリーは少しため息をつきながら、服を幾つか手に取った。
「別にこのブランドも決して安物ってわけじゃないんです。価格は高くて素材は安物っていうデザインだけのアパレルブランドと違って、価格とデザインはいい意味で普通、でも品質はそういうアパレルブランドよりもかなり高いんですよ。服のバリエーションもいっぱいありますし」
「確かにこれだけ色んなバリエーションの服を取り扱ってるし、色のバリエーションだけっていうのも……サイトくんなら似合いそうな服がいっぱいありそうだし」
「でもどうして兄さんはいつも……」
「それはね、無難な選択肢が最終的には長く使えるものだからだよ」
「サイトくん!?」
2人が服を見始めたのと同時に別のフロアに向かった彩斗が不意に会話に割って入った。
「長く…使える?」
「そう。その時代において、例えば流行りのファッションが最良の選択肢だとする。でもその流行が去った後の時代においては流行遅れの服になっちゃって、もしかしたら最悪の選択肢になってしまうかもしれない」
「ん…ん〜ん?」
彩斗の説明に少しメリーはついてこれていない。
しかし彩斗はそれを分かった上で続けた。
正直、メリーが理解できずともちゃんと自分が一応、興味が無い、面倒くさい以外の理由を持って服を選んでおり、なおかつその服が他の服よりも優れている部分があるということが伝われば良かったのだ。
「だから
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