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八神家の養父切嗣
四十三話:挑発
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たのか見当たらない。すぐに逃げ出すべきか状況を把握するべきか迷っているところで扉が開かれる。すぐにでも戦闘が出来るように体の筋肉に力を入れたところで固まってしまう。それは入ってきた相手が余りにも見覚えのある姿をしていたから。

「ああ、目が覚めたのか。気分はどうだ?」
「リイン…曹長?」

 見覚えのある銀色の髪に特徴的な前髪。違いと言えばバッテン印の髪飾りが着いていないことぐらいだ。しかし、他の部位を探せば違いは多く見つかる。ツヴァイの空色の瞳と違い彼女の瞳は夕焼けのような赤さを持つ。

 何より、体の大きさが違う。ツヴァイは基本的にミニチュアサイズで手の平に収まる大きさだ。そして見た目年齢も6,7歳程度。だが、目の前にいる彼女は平均的な女性よりも少し大きいぐらいの伸長で、尚且つ明らかに成熟した女性だ。ついでに言えばかなりグラマラスな体型である。

「曹長? ああ、後継機のことか。私はリインフォースT、簡単に言えば彼女の姉だ」
「リイン曹長のお姉さん…?」

 詳しい事情は分からないが道理でよく似ているわけだと納得するスバル。同時に身内の身内だと分かり体の力を抜く。その様子にアインスは少し微笑みながら持ってきたお茶をお盆から取り、スバルに渡す。

「喉が渇いただろう」
「あ、ありがとうございます」

 お茶を渡されたことで喉が渇いていることに気づき一口お茶を飲む。喉が潤う感覚にちょっとした幸福感を感じながらスバルはもう一度アインスを観察する。こちらに対して特に気負うことなく笑顔を向けながら椅子に座る姿はさながら一枚の絵画のようだ。

 ツヴァイも成長すればこのような人になるのだろうかと思うが性格のせいかイメージが湧いてこない。彼女は人形のような整った美しさを持ちながらもどこか人間らしさを感じさせる。今もお茶を飲む自分を見てクスリと笑っているところなど実に人間らしい。

「しかし……毒が入っているとは疑わないのだな」
「へッ!?」
「冗談だ」

 突如として物騒な言葉をかけられ思わずお茶を吹き出しそうになる。すぐに冗談だと分かり何とか抑えることに成功するが冷や汗をかいたことには変わらない。そんなスバルの様子にアインスは今度は悪戯が成功したとばかりに可愛らしく笑う。まるで子どもような仕草に起こるに怒れずにスバルはどうしたものかと困ったような表情を見せる。

「すまないな、簡単なコミュニケーションをとろうとしただけだ」
「心臓に悪すぎます……」
「そうなのか? 旦那の場合『君に殺されるのなら喜んで』とジョークで返してきたのだが」
「旦那さんゾッコンですね……というか結婚していたんですか」
「ああ、困ったところもあるが自慢の夫だ」

 これが惚気かと遠い目をしながらスバルは息を吐く。同時にこんなにも
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