〜白き花のマドリガル〜中篇
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シリアが声を出し起き上がった。
「あら……ここは…………」
「ひ、姫!?」
「セシリア!?」
「セシリア……様……!」
(さてと……長かった劇もこれで終りね。)
目覚めたセシリアにユリウスとオスカーは驚いた表情で呼びかけ、マーリオンはセシリアに駆け寄り、パズモはセシリアの肩に止まって心配げな表情でセシリアを見た。
「まあ……ユリウス、オスカー……それに妖精さん達も。まさか、あなたたちまで天国に来てしまったのですか?」
「「「「………………」」」」
セシリア以外は驚いて言葉が出なかった。
「こ、これは……。これは紛う方なき奇跡ですぞ!」
セシリアが生き返った事に司教は驚愕した。そして侍女たちがセシリアに駆け寄った。
「姫様〜!」
「本当に、本当に良かった!!」
「きゃっ……。どうしたのです2人とも……。あら……公爵……議長までも……。わたくし……死んだはずでは……」
(まあ………エイドスだけでなく、我が主神イーリュンやアーライナまでお力に……フフ、お芝居とは言え違う考えを持つ女神達が力を合わせるなんて素敵ですね、ペテレーネ様。)
(ええ……幻燐戦争の時、ティナさんといっしょに傷ついた方達を癒すために戦場を駆け回ったあの頃を思い出します……)
ティアとペテレーネは劇の内容の奇跡に微笑みを浮かべた。
「おお、女神達よ!よくぞリベールの至宝を我らにお返しくださった!」
「大いなる慈悲に感謝しますぞ!」
公爵と議長は天を仰いだ。
「オスカー、ユリウス……。あの……どうなっているんでしょう?」
自分だけ事情がわかっていないセシリアは2人に尋ねた。
「セシリア様……。もう心配することはありません。永きに渡る対立は終わり……全てが良い方向に流れるでしょう。」
「甘いな、オスカー。我々の勝負の決着はまだ付いていないはずだろう?」
「ユリウス……」
「そんな……。まだ戦うというのですか?」
また決闘をしそうな言葉を聞いたセシリアは不安そうな表情をした。そしてユリウスは静かに首を横に振って語った。
「いえ……。今回の勝負はここまでです。何せ、そこにいる大馬鹿者が利き腕をケガしておりますゆえ。しかし、決闘騒ぎまで起こして勝者がいないのも恰好が付かない。ならば、ハンデを乗り越えて互角の勝負をした者に勝利を!」
「待て、ユリウス!」
「勘違いするな、オスカー。姫をあきらめたわけではないぞ。お前の傷が癒えたら、今度は木剣で決着をつけようではないか。幼き日のように、心ゆくまでな。」
「そうか……。ふふ……わかった、受けて立とう。」
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