〜白き花のマドリガル〜中篇
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「セシリア、どうして……。君は欠席していたはずでは……それにこの決闘場には私達以外入らない用、兵達が封鎖していたのに……」
セシリアの体を支えながら語りかけるオスカーにセシリアは優しく笑って答えた。
「よ、よかった……。オスカー、ユリウス……。あなたたちの決闘なんて見たくありませんでしたが……。どうしても心配で……戦うのを止めて欲しくて……。ああ、間に合ってよかった……妖精……さん……私の……願い……聞いてくれて……ありがとう……」
「セシリア……様……」
(ヨシュアったら、演技が本当に上手いわね……)
セシリアのために兵達を気絶させた妖精達が悲しそうな表情でセシリアを見た。
「セシリア……」
「ひ、姫……」
ユリウスとオスカーはセシリアにかける言葉がなかった。そしてセシリアは傷ついた体でその場にいる全員に語った。
「皆も……聞いてください……。わたくしに免じて……どうか争いは止めてください……。皆……リベールの地を愛する大切な……仲間ではありませんか……。ただ……少しばかり……愛し方が違っただけのこと……。手を取り合えば……必ず分かり合えるはずです……」
「お、王女殿下……」
「もう……それ以上は仰いますな……」
セシリアの言葉に公爵と議長は膝を折った。
「ああ……目がかすんで……。ねえ……2人とも……そこに……いますか……?」
「はい……」
「君の側にいる……」
ユリウスとオスカーはセシリアの手を握った。
「不思議……あの風景が浮かんできます……。幼い頃……お城を抜け出して遊びに行った……路地裏の……。オスカーも……ユリウスも……あんなに楽しそうに笑って……。わたくしは……2人の笑顔が……だいすき……。だ……から……どうか……。……いつも……笑って……いて……。………………………………」
そしてセシリアは幸せそうな表情で力尽きたようにセシリアの腕から力が抜けた。
「姫……?嘘でしょう、姫!頼むから嘘だと言ってくれええ!」
「セシリア……自分は……。………………………………」
ユリウスはセシリアの身体を何度も揺すって呼びかけ、オスカーはセシリアの身体を抱きしめた。
「姫様、おかわいそうに……」
「ああ、どうしてこんな事に……」
侍女たちは顔を伏せて悲しんだ。
「ク………私は結局何もできず、姫の命をお守りすることすらできなかった………自分が情けない……!騎士団長失格だ……!」
ザムザは無念そうな表情で悲しんだ。
「殿下は命を捨ててまで我々の争いをお止めになった……。その気高さと較べたら……貴族の誇りなど如何ほどの物か……。そもそも我々が争わなければ
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