〜白き花のマドリガル〜前篇
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います。」
セリフを言いながらセシリアは数歩前に出て、祈りの仕草をしてセリフを言った。
「ああ、オスカー、ユリウス……。わたくしは……どちらを選べばいいのでしょう?」
(まあ、あのお姫様は……ヨシュアさんではありませんか。ふふ、男女の配役が逆とは……。ジルもなかなか考えましたわね。)
(はい、お嬢様。ただヨシュア様はともかく他のメイドの方はちょっと……)
劇の配役の一部を見たメイベルは微笑み、リラは侍女役の男性達に眉をしかめた。そして舞台の人物が代わり、今度はエステル――紅騎士ユリウスとクロ―ゼ――蒼騎士オスカーが出て来た。
「覚えているか、オスカー?幼き日、棒切れを手にしてこの路地裏を駆け回った日々のことを。」
「ユリウス……。忘れることができようか。君と、セシリア様と無邪気に過ごしたあの日々……。かけがえのない自分の宝だ。」
「ふふ、あの時は驚いたものだ。お忍びで遊びに来ていたのが私だけではなかったとはな……」
「舞い散る桜のごとき可憐さと清水のごとき潔さを備えた少女……。セシリア様はまさに自分たちにとっての太陽だった。」
「だが、その輝きは日増しに翳りを帯びてきている。貴族勢力と平民勢力……。両者の対立は避けられぬ所まで来ている。姫の嘆きも無理はない……」
「そして……。ああ、何という事だろう。その嘆きを深くしているのが他ならぬ我々の存在だとは……」
「2人ともこんな所にいたか。」
「「団長!!」」
語り合っているユリウスとオスカーの所にプリネ――騎士団長ザムザが近付いて来た。
「ユリウス、公爵がお前を探していたぞ。」
「はっ……団長の手を煩わせてしまい……申し訳ありません!」
「オスカー、お前も議長がお呼びだったぞ。」
「……申し訳ございません。すぐに参ります。」
ザムザの言葉にユリウスとオスカーは敬礼して答えた。
「………今、国は2つに分かれている。お前達がこうして顔を合わせ密談しているのはお前達にとってあまりいいことではないぞ。」
ザムザは厳かな口調で2人に忠告した。
「………お言葉ですが、団長。私とオスカーは団長の元で共に剣を学んだ身……同門仲間と会話してはいけないのでしょうか?」
「……………………」
ユリウスの言葉にザムザは目を閉じて何も語らず去って行った。
(きゃあきゃあ!お姉ちゃんたちステキ!)
(く、悔しいけど……男よりも格好いいかも……)
(ママ、カッコイイ!)
(ご主人様、凛々しいです……)
(ふふ……。静かに見ましょうね)
エステル達の登場に小声で騒いでいる子供達にテレサは優しく
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