第53話
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」
「………無暗な混乱を起こさせないために一応念のためにさせた。………ペテレーネは日曜学校や新聞等で顔が割れているからな。」
「む?それを言ったら、リウイ。お前やティア殿もそうではないのか?」
リウイの説明にリフィアは不思議に思い、尋ねた。
「俺やティアは騒がれても対処できるが、ペテレーネには難しいだろうからな……」
「あう……すみません、リウイ様……」
「………別にいい。お前はこちらの世界に来るまで、公の場で皇族として出た事がなかったのだから仕方ない。ゆっくりでいいから慣れていけ。」
「リウイ様……」
自分を気遣うリウイの優しさにペテレーネは顔を赤くした。
「フフ、お2人とも相変わらず仲がよくていいですね。それよりお父様。そろそろ向かいませんか?劇ももうすぐ開演するようですし。」
「そうだな。……一番後ろから観るぞ。その方が騒がれる可能性も少ないしな。」
ティアの言葉に頷いたリウイはペテレーネやリフィア達を連れて講堂に向かった。
〜ジェニス王立学園・講堂〜
衣装に着替えたエステルは舞台脇からそっと観客達の様子を見た。
「うっわ〜……。めちゃめちゃ人がいる〜。あう〜、何だか緊張してきた。」
「大丈夫ですよ、エステルさん。あれだけ練習したんですから。」
「ええ、いつも通りやれば失敗はありません。」
用意されてある椅子が観客達によってほぼ全て埋まっているのを確認し、緊張しているエステルに同じように衣装に着替えたクロ―ゼやプリネが元気づけた。
「2人の言う通りだよ。それに劇が始まったら他のことは気にならなくなるさ。君って、1つの事にしか集中できないタイプだからね。」
「むっ、言ってくれるじゃない。でもまあ、そのカッコじゃ何言われても腹は立たないけど♪」
「う………」
エステルはセシリア姫の衣装を着ているヨシュアを見て笑って答えた。まだ割りきれていないヨシュアはエステルのからかう言葉に珍しく反撃できなかった。
「はいはい。痴話ゲンカはそのくらいで。……今年の学園祭は大盛況よ。公爵だの市長だのお偉いさんがいるみたいだけど私たちが臆することはないわ。練習通りにやればいいとのこと。」
「俺たち自身の手でここまで盛り上げてきた学園祭だ……。最後まで、根性入れて花を咲かせてやるとしようぜ!」
「「「「「「「「「「お〜!!!!!!」」」」」」」」」」
ジルとハンスの言葉にエステル達は手を天井に上げて乗った。そしていよいよ劇『白き花のマドリガル』が開演した………!
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