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納豆ジェネレーション
3部分:第三章
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第三章

「それやったら同じやろが」
「同じなわけあるか。とにかくわしの前でそんなもん食うな」
「食うな言われてももう混ぜてるし」
「食うんか」
「そや、食う」
 淳も淳で頑固である。
「今からな。食うで」
「何度も言うからわしの前で食うな」
 健吾も引かない。あくまで。
「断じてな」
「ほなお父さん」
 ここでやっと千賀子が口を開くのだった。
「それやったら一時退室でどないや?」
「こいつがか」
「いや、お父さんが」
 しかし彼女はここで夫より我が子を選んだのだった。
「一時退室。どないや?」
「えっ、わしが?」
「だって私も今から納豆食うから」
 こう言うのである。言いながら実際にパックを手に取ってそれを食べはじめる。
「だからや。ちょっと部屋出といて」
「母ちゃんも納豆なんか食うんかいな」
「それ最初から言うてるやん」
 夫への返答はしれっとしたものだった。
「広島では普通やって」
「わからん」
 孤立無援になった健吾は首を捻り回して言うしかなかった。
「そんなもん食うなんてな」
 しかし今はどうしようもなかった。二対一ではどうしようもない。彼は一時部屋を去るしかなかった。そうして自分の部屋で本を少し読んでから二人が納豆を食べ終わるのを待った。彼にとっては実に忌々しいことであった。
 そんな納豆嫌いの彼だったが勿論納豆を食べないでも生きていられる。というわけにはいかなかったのだった。
 何と彼は突然病気になってしまった。原因も何もわからないとんでもない奇病で急に寝たきりになった。身体が動かず衰弱する一方だった。
「何やこの病気は」
 彼は病室で仰向けに寝かされたまま言うのだった。
「いきなり身体が動かんようになって。何なんや」
「それがお医者さんにもわからへんらしいわ」
「原因不明らしいで」
 千賀子と淳が枕元で彼に答える。
「それで治療法も」
「全然わからへんから」
「じゃあこのまま死ぬんかいな」
 結論がここで出てしまった。
「それやったらな」
「ああ、それですが」
 しかしここで部屋に入って来たお医者さんが言ってきたのだった。
「今治療法が見つかりました」
「えっ、今ですか?」
「はい、運がいいことに」
 彼はにこりと笑って健吾に述べるのだった。
「今見つかったんですよ、これが」
「お父さんよかったじゃない」
「これで助かるで」
 千賀子と淳もそれを聞いてほっとした顔で微笑んでいた。
「じゃあ早速その治療法で」
「なおそうな。それで」
「そやな。わし助かるんやな」
 健吾もそれを聞いてまずは微笑む。
「よかったわ」
「それで先生」
 千賀子は満面の笑みですぐにお医者さんに尋ねた。
「その治療法って何なんですか?」
「薬です
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