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納豆ジェネレーション
1部分:第一章
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「わしの時のクラスの奴が一人好きやった」
「偉い人がおったんやな」
「全員で顔顰めて人間かって言うたったわ」
 しかしその偉人に対する扱いはこんな有様だったのであった。
「あんなもん食うてな。あんなまずいもんをな」
「まずいって食べたことないやん」
 実はそうであった。健吾は納豆を一粒も食べたことがないのだ。
「それも全然。ないやろ?」
「納豆を食わんでも生きていける」
 これが健吾の主張であった。
「わしは豆腐を食う。それだけで充分や」
「ほな朝の納豆は?」
「関東の奴等はそやから性根が腐ってるんや」
 これまたとんでもない暴論である。
「朝からあんなもん食うてな」
「あんなもんかいな」
「とにかくや。わしは納豆は食わん」
 頑迷なまでに言い切る。
「わしはな。絶対に食わんからな」
「ほな納豆あんたはいらんねんな」
「見たくもないわ」
 あくまで納豆を嫌うあまりここで千賀子の言葉の意味を理解することを忘れていた。
「わしの目の前には絶対に出すんやないぞ」
「まあ最近スーパーでも納豆は普通に売ってるけれどな。安いし」
「安くても高くても納豆を食うようになったら世の中おしまいや」
「納豆は北斗神拳かいな」
 これまた古典的な言葉である。彼等の世代の定番の言葉だ。

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