第29話
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ラスの希望にクルツが答えようとしたその時
「――――前に使っていたクオーツは使えない、でしょう?」
レンが続きを言った。
「ああ。しかし、よく気付いたね?」
「ええ。だって、構造も変わるのだから、互換性の問題で以前使っていたクオーツが使えなくなるのは当然の事でしょう?」
「ハハ、普通の人はそこまで気付かないよ。」
レンの鋭さにクルツは苦笑しながら答え
「ええ〜っ!?そ、それってつまり……」
「今まで合成したクオーツが無駄になるってことですかっ!?」
エステルとアネラスは今まで使っていたクオーツが全て無駄になる事に不安そうな表情になった。
「残念ながらそうだ。面倒だろうが、また最初から1つずつ揃えてもらうしかないな。」
「そ、そりゃないわよ〜。」
「ちょっとは使う側の事を考えて開発して欲しいわね。」
クルツの答えを聞いたエステルは肩を落とし、レンは頬を膨らませた。
「うーん……。確かに迷っちゃうよね。このまま今のオーブメントを使い続けたらダメなんですか?」
「ダメじゃないが、推奨はしない。新型オーブメントは、全ての面で以前のものより性能が高いんだ。最大EPも大幅にアップするし、最新型のクオーツにも対応できる。将来的には、さらなる身体能力の向上が期待できるということだ。それに何と言っても以前のオーブメントになかった新しいアーツが組めるのが大きい。……エステル君、レン君。ロランス少尉を覚えているか?」
「え!?う、うん。忘れるなんて出来っこない相手だけど……」
ロランス少尉の話がクルツの口から出てくるとエステルはヨシュアと関係しているかもしれない事に不安そうな表情で頷き
「なるほどね。その新型のオーブメントならロランス少尉が使った未知のアーツ―――確か『シルバーソーン』、だったかしら?そう言った今まで使えなかったアーツが使えるのね?」
「その通り。」
レンの推測にクルツは真剣な表情で頷き
「そ、それじゃあ……。あの赤い隊長さんは新型を使っていたんですね!?」
アネラスは不安そうな表情で尋ねた。
「その可能性は高そうだ。さて、君たちはどうする?」
クルツがエステル達に判断を促すとその場に静寂が訪れたが
「………………………………。あたしは……新型を使いこなしてみたいな。」
エステルが静寂を破り決意の表情で答えた。
「え?」
「あら。」
エステルの答えを聞いたアネラスは驚き、レンは目を丸くし
「あの時、あたしはあの銀髪男に全く歯が立たなかった。アリエッタさんのお陰で勝てたようなものだし………オーブメントを変えたからって自分が強くなるわけじ
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