第38話
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ルーアンに向かって歩いて進んでいたエステル達は夕方になる頃に、ボースとルーアンを繋ぐ関所についた。
〜クローネ峠・関所前〜
「は〜、やっと着いたみたい。あれが関所の建物なのかな?」
関所らしき建物を見たエステルは長い道のりを歩いて来たので、安堵の溜息をはいた。
「そうみたいだね。あれを越えたらルーアン地方だ。でも参ったな……もうすぐ日が暮れる。今日はここに泊めてもらった方がいいかもしれない。」
「別にいいけど……。急いで峠を降りて、麓の宿に泊まる選択肢もあるんじゃない?」
日が暮れ始めていることに気付いたヨシュアは提案をし、エステルはそれに頷きながらもほかの選択肢を言った。
「夜の峠越えは危険だよ。視界も悪ければ足場も悪い。夜行性の魔獣に襲われたら崖から落ちる可能性だってある。あんまりお勧めできないけどな。……それに旅をしているのは僕達だけではないんだよ。」
「あ………」
エステルに答えたヨシュアはリフィア達の方に向いた。ヨシュアに気付かされたエステルは思わず声を出した。
「エヴリーヌはフカフカのベッドで寝たいから、ここに泊まるのに賛成〜。」
「余はどちらでも構わん。夜の行軍などで慣れておるしな。」
「私もリフィアお姉様といっしょです。お父様達からは野営の訓練も受けていますし。」
「2人の気持ちはありがたいけど、ここはエヴリーヌの希望に沿って休ませてもらいましょ。さすがにあたしも夜の峠越えは怖いし。」
そしてエステル達は関所に泊めてもらうことにし、門番の兵士達に近づいた。
「おっと、珍しいな。こんな時間にお客さんなんて。ハイキングに来て道に迷っちまったのか?」
兵士の一人がエステル達を見て、尋ねた。
「ううん、違うわ。あたしたち、一応、遊撃士なんだけど。」
兵士に答えたエステルは準遊撃士の紋章を見せた。
「へえ、あんたたちの歳で遊撃士ってのは驚きだなぁ。それじゃあ、仕事で来たのかい?」
「いえ、実は正遊撃士を目指して王国各地を回るつもりなんです。」
「で、どうせだったら修行を兼ねて飛行船を使わずに歩こうかな〜って。」
「歩いて王国一周するのか!?は〜っ、若いって言うか気合が入っているって言うか。」
「えへへ、それほどでも。」
ヨシュアとエステルの答えに兵士は驚いて感心した。兵士に感心され、エステルは照れた。
「しかし、いくらなんでも今から峠を降りるのは危険だぞ。最近、このあたりではやたらと魔獣が発生してるからな。5人もいるとはいえ、油断は禁物だ。旅人用の休憩所があるから今夜はそこに泊まっていくといい。」
「やった、ありがと♪」
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