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トンデケ
第十一話 永遠(とわ)に眠れ
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「うるさい! 黙れ!」
誰かが叫んだ。
「やつはどこだ!!」
「そうだ、やつはどこなんだ!!」
「どこにいるんだ!! 探し出せ!!」
掛け声に勢いづいた人々が能力を最大限に駆使して、
機内を隈なくサーチし始めた。
だが、テレパシーで心を読み取ることも、
透視で姿をとらえることもできなかった。
「なぜだ!? どうして見えない!?」
一人の男がモニター室の外へと駆け出した。
皆がその後を追いかける。
「どこかに操縦室があるはずだ!!」
「あったぞ!! ここから入れる!!」
皆の視線が壁の一点に集中する。
「よし、行くぞっ!!」
一斉に壁の奥へとテレポートする人々。

通り抜けた先はうす暗くて狭い、機関室のようなところだった。
床の中心付近がほのかに光っている。
あそこがエンジン部分だろうか。
「やつは?」
あたりを見渡しても、それらしい者の姿はない。

すると、頭の中でまた声がした。
『私を探しているのですか? 
 それなら、私はもうあなた方の目の前にいますよ。』
ここだよ、というように、床の光が点滅し始めた。
すーっと浮かんで来たのは、ぎらぎら光る拳ほどの丸い玉だった。
「なんだと!! 声の主がコイツだったっていうのか!!」
「こんな光みたいなものが、俺たちを先導していたっていうのか!!」
「冗談じゃない!!」
「そうだ、俺の家族を返してくれ!!」
「愛する者たちの命を返せよ!!」
「俺たちの住む場所を返せ!!」
返せ!! 返せ!! 返せ!!
みなの怒りは頂点に達し、壁という壁を拳で激しく叩きつける音が轟音となって響く。

「うーーーーん」
百香が突然、何かに取り憑かれたように呻き出した。
同時に髪の毛が逆立ち、周囲に異様な気流が波打つ。
武井がそれに気づき、慌てて制止した。
「圷さん、圷さんだめだ!! やめるんだ!!」
しかし、武井の声はもはや彼女の耳には届いていなかった。
うわん、うわん、うわん、うわん……
耳の中でノイズが渦巻き、聞こえてきたのはあの言葉。
『……ケ、…ンデケ、トンデケ、トンデケ』
床が小刻みに震えだす。
百香はするどい形相で宙を睨み叫んだ。
「トンデケ、トンデケ、トンデケーーーーー!!」
その瞬間、激しい振動とともに床が大きく傾き、
人々が次々に滑り落ちていく。
同時に光の玉は忽然と消え、室内が真っ暗になった。
機体はコントロールを失い、海に向かって落ちていく。
キャシーは強靭な腕で、床や壁にしがみついた。
しかし、振動のせいで手がすべった。
そこらじゅうに激突するたび、頭と足があらぬ方向へとくねり、
巨体は為すすべもなく闇にのまれていった。

武井はよろけながら、咄嗟に百香の足首にしがみついた。
見ると、百香の体はぼ
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