第十一話 永遠(とわ)に眠れ
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戦うだろうことはわかっている。」
だが、それはちょっと違っていたようだ。
我々の文明が滅びるのに、なにも戦争や化学兵器など必要ない。
地球は、浄化という名の自爆スイッチを懐に隠し持っていたのだ。
だが待てよ、そのスイッチを押したのはいったい誰なんだ。
地球が自ら自爆などするものだろうか…。
いや、今となっては、そんなことはもうどうだっていい。
ああ、まったく… 今の今まで何の疑いも持たず英雄気取りでいたとは…。
なんて浅はかだったんだ。とんだヒーローだよ、笑いたくなるよまったく…。
こんなことなら、あの時、地球に戻れば良かったんだ。
その空気を察したのか、頭の中の声がやや哀れみを帯びた口調に変わった。
『地球は幾度も死に、そして復活してきました。
ですから心配はいりません。
あなた方にはもっと住みやすい星を用意しましょう。』
「誰がそんなことを頼んだというのだ!」
「あなたはいったい何者なんだ?」
「目的はなんだ!!」
その時、彼らの怒号を撃ち抜くかのように、鋭い声が頭を貫いた。
『あなた方は、いらぬ方向へ進化しすぎてしまったのです!!
あなた方が創造主の英知を超えることなど許されません!!』
なんだと? 創造主だと?
『その通りです。あなた方の体には
創造主ご自身のDNAが組み込まれています。
浄化が必要になった際に集結してもらうためです。
ですから、あなた方にだけ特別な能力を与えたのです。』
要するに、我々はあんたらのリセットボタンてわけか。
しかしまた、ずいぶん勝手なことを…。
創造主とやらに作られた命が知恵をつけ、文明を構築していく様を
あんたらはどっかから見ていたのか。箱庭ゲームのように…。
そして進化した生物たちの頭脳やパワーが創造主を超えそうになると
今度は恐れをなして跡形もなく消し去ってしまうわけだ。
あんたらの言う浄化とは、そういうことだったんだな。
よりによって、どうしてそれを我々に加担させたのだ。
あんまりじゃないか…。
『あなた方は使命を見事に果たしてくれました。
対価として創造主はあなた方に新たなよりよい住環境と
何不自由ない生活をご用意くださるそうです。
残りの人生を謳歌できるだけの十分な時間をお与えくださるのですよ。』
馬鹿を言うな!!
この絶望感、喪失感、罪悪感をどうしたら昇華できるというのだ…。
一生後悔の涙を流して生きろというのか…。
この孤独感をどうやって埋めろというのだ。
これじゃ、死んでいるも同然じゃないか。
『友人やパートナーを見つけ、新しい人生を始められるではありませんか。
あなた方の未来はこれからも続くのですよ。なんの不足があるというのです。』
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