第31話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
テルは苦笑して言った。
「それに5年も経つんだもん。なんか、どーでも良くなったし。」
「そう……5年もだよ。どうして何も聞かずに一緒に暮らせたりするんだい?あの日、父さんに担ぎ込まれたボロボロで傷だらけの子供を……昔のことをいっさい喋らない得体の知れない人間なんかを…………どうして君たちは受け入れてくれるんだい……?」
エステルの前向きな言葉にヨシュアは不思議に思い、真剣な表情でエステルを見た。
「よっと………そんなの当たり前じゃない。だってヨシュアは家族だし。」
ヨシュアの言葉を気にせず、腰を上げて立ったエステルは事も無げに言った。
「………………………………」
エステルの言葉にヨシュアは呆気にとられたような表情をした。
「前にも言ったけど、あたし、ヨシュアのことってかなーり色々と知ってるのよね。本が好きで、武器オタクで、やたらと要領がよくて……人当たりはいいけど、他人行儀で人を寄せつけないところがあって……」
「ちょ。ちょっと……」
どんどん自分のことを言うエステルにヨシュアは制しようと声を上げたが
「でも、面倒見は良くて実はかなりの寂しがり屋。」
「………………………………」
エステルの言葉に口を開いたまま黙った。
「もちろん、過去も含めて全部知ってるわけじゃないけど……それを言うなら、父さんやお母さんの過去や出会いだってあたし、あんまりよく知らないのよね。だからと言って、あたしと父さんやお母さんが家族であることに変わりはないじゃない?多分それは、父さん達の性格とか、クセとか、料理の好みとか……そういった肌で感じられる部分をあたしがよく知ってるからだと思う。ヨシュアだって、それと同じよ。」
言いたいことを言い終えたエステルは満面の笑みを浮かべてヨシュアを見た。
「………………………………本当に……君には敵わないな。初めて会った時……飛び蹴りをくらった時からね。」
「え……。そ、そんな事したっけ?」
ヨシュアの言葉にエステルはたじろいだ。
「うん、ケガ人に向かって何度もね。」
「あ、あはは……幼い頃のアヤマチってことで。」
ハッキリ言ったヨシュアにエステルは苦笑しながら言った。
「はいはい。……ねえ、エステル。」
「なに、ヨシュア?」
「今回の事件、絶対に解決しよう。父さんが捕まっているかどうか、まだハッキリしてないけど……。それでも、僕たちの手で、絶対に。」
「うん……モチのロンよ!」
ヨシュアの真剣な言葉にエステルは元気良く頷いた。
「ふふ……そろそろ宿に戻ろうか?食事の用意もできてる頃だろうし。」
「うん、お腹ペコペコ〜。しっかりゴハンを
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ