第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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幸せを花陽ちゃんにも分けてたいって前から願ってたから今日は来てよかったなぁ〜」
ありがとね、という呟きはどこか寂しさを孕んでいて......どうして花陽は心配してるのかわからなくて......そんなわけないのに...。
「......」
「......」
「......大丈夫だからね、花陽ちゃん」
「ふぇ?」
「僕はもう、何処にもいかないから。何年も、何十年も、君の隣でずっと支えているからね。」
「......」
花陽からの返答はなかった。だけど、手にこもる熱気と安心しきった笑みが花陽の不安を和らいでくれたようだ。
...そうか、きっと僕と高坂姉妹のやり取りで、僕が花陽の前からいなくなるんじゃないかって思ったんだろう。
──────ずっと君を見てたからわかる
泣いてる時も、笑っている時も、怒っている時も。
僕は花陽の傍に居たから...
君が僕の事を一番わかってくれているように、僕も君を一番わかってるんだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫だからね?」
「......うん!」
ただ、僕はさっきの言葉をもう少し言い換えれば良かったと後悔する事になるのは随分後の話だ........
花陽の中で誤解を産んだまま話が進んでいるとも知らずに....
気が付けば、あっという間に花陽の家に着いた。ちなみに僕の家はその隣。
十何年も通っている道なので、もう見慣れたものだ。
あの後もとりとめのない会話をしながらここまで来たけど、不思議と心地が良かった。
”安心感”とか”幸福感”がそれだけ僕の中で大きなものになっているらしい......。
「明日は凛ちゃんの家でいいんだよね?」
「う、うん...」
「そっか。ほら、家に着いたよ」
「...うん」
「??」
いつもなら、笑顔で手を振って『バイバイ!』って言ってくれるのに今晩は一向に手を離そうとしない。
僕がすっと手を離そうとすると子供のようにまた手を掴んでくる。
「どうしたの花陽ちゃん。まだなにかあった?」
「え、えっと...ね?そのぉ...」
もじもじと。何か言いたそうにしている。
「あ、あのね!...お願いがあるの」
「お願い?いいよ、何でも言って」
「じ、じゃあ...すこししゃがんで欲しい...な?」
「......?いいよ。」
僕は言われるがままに花陽と同じくらいか、すこし高めまで腰を折る。
...あ、野良猫がこっち見てる。あれがもし凛ちゃんだったら、「なんか春くんお
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