第3話 和菓子屋さんの看板姉妹
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妹に怒られる姉。姉が妹の面倒を見るというのが良いんだ!と、クラスメートが語っていた事があったがそれだけが正しい論じゃないと思う。僕は高坂姉妹のようにちょっとドジな姉を支える妹っていう仲良しな姉妹もいいと思う。僕も妹とか弟がいたらなぁ、と考えないこともない。いや、やっぱり欲しいかも。雪穂みたいな高性能を誇るうえに、愛嬌もあって気遣いもできる妹が欲しい...と。
一家に一人、雪穂ちゃん、みたいに...。
というのはあくまで妄想の世界の話。
残念ながら僕にも妹というのはいる。いや、残念ではないけど...妹が中学生になってから少しあたり触りが強くなった妹。
だから心のどこかでは雪穂みたいな妹が欲しいと思ってるのかもしれない...
決して『雫』のことが嫌いというわけではないけど......
「それよりゆきほ〜」
「なによ?」
「まだ玄関にお客さんいるんだからその格好で出てこない方がいいと思うよ?」
「え?」
そして初めて、雪穂は玄関前で立ち止まってる僕を見る。静寂は体感で十数秒くらい。声をかけた方がいいのかわからないのでとりあえず手を軽く上げて「こんばんは♪」と、笑顔で挨拶をする。うん、挨拶は大事。
「は、はははははははるとさんっっっっ!?!?!?!?!?!?!?なななんでこ、ここにいるんですか!?い、いるなら声かけてくださいよ!?ああ!私春人さんの前でなんて格好してるの!?」
「ちょっとゆきほ〜!キャラ壊れてる!落ち着いて落ち着いて!!」
「これが落ち着いていられる状況じゃないでしょ!なんでもっと早めに教えてくれなかったのお姉ちゃ〜ん!ああもう、春人さんに恥ずかしいところ見られたぁ〜!ち、ちょっと私着替えてくる!!」
「あ、あははは.....大変そうだねゆきほ。」
僕の存在に気づいた途端、真っ赤になった雪穂はいつもの冷静さを失い無実の姉にすら噛みついて奥へと消えていった。あんなに乱心になった雪穂は初めて見た。
高坂先輩も苦笑いをしながら雪穂が消えた通路を眺めて、
「いやぁ〜ごめんねはるとくん。ウチのゆきほ、はるとくんに一目惚れしちゃってて...家で君の話すると舞い上がっちゃう子なの。」
「......それ、本人の前で言ってもいい内容なんですか?」
「...あ、」
家であたふた着替えている妹をよそに、ちゃっかり妹の好きな人を本人の目の前でバラしちゃう姉。聞いてはいけないことを聞いてしまった僕はこういう時どう反応したらいいの?
「.....今の聞かなかったことにしてね?」
「...はい。」
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